ピックアップ障害は、卵子が卵管にスムーズに移動しない症状のことを言い、不妊の一因になります。
本記事では、ピックアップ障害と原因、検査方法について説明します。原因には性感染症などもあるので、ぜひ参考にしてください。
ピックアップとは
ピックアップとは、排卵された卵子を卵管采がキャッチして卵管に送り込むことを指します。
卵管は子宮につながっている管で、卵子の通り道であり、受精の場所でもあります。卵管は固定されておらずぶら下がっており、卵巣から排卵された卵子は、卵管采(卵管の先端にあるイソギンチャクのような形の開口部)に拾い上げてもらうことで卵管に入り、卵管膨大部で精子とめぐり合って受精します。
排卵・受精・着床までの流れ
基本的には毎月左右どちらかの卵巣から1つの卵胞が選ばれて発育し、次の月経予定日の14日前くらいに排卵が起こります。卵巣から排卵された卵子は卵管采に拾い上げられて、卵管に入ります。これをピックアップといいます。
射精によって腟内に射出された精子が子宮を通り、卵管の膨大部、というところまで泳いできて卵子と出会い、受精します。
受精すると卵子は受精卵(胚)と呼ばれます。受精卵は卵管の中で、子宮に向かって移動しながら成長して、着床前には胚盤胞になります。胚盤胞になって子宮に到達すると、子宮の内膜にくっついてもぐりこみます。これを着床といいます。
ピックアップ障害とは
ピックアップ障害とは、排卵された卵子が卵管へとスムーズに移動せず、取り込まれにくい状態を指します。
卵管采の癒着や機能不全、卵管の詰まり、骨盤内の炎症などで、卵子のピックアップに障害が生じます。
ピックアップ障害は、卵子と精子が出会う受精のプロセスを妨げるため、不妊の一因となります。原因不明不妊で人工授精を行っても妊娠に至らない場合には、ピックアップ障害も疑われます。
ピックアップ障害の原因
ピックアップの障害となる卵管の詰まりや卵管采の癒着の原因としては、性器クラミジア感染症や虫垂炎などの腹腔内感染の既往や手術後、子宮内膜症などが挙げられます。
性器クラミジア感染症:女性では90%以上が無症状であり、感染に気づかず無治療のまま放置されることが多いです。無症状のままでいると、卵管や卵管采に症状が出て、ピックアップ障害につながります。クラミジア感染は卵管障害の大きな原因となるので、性感染症の予防や検査はとても大切です。
参考:クラミジアの症状は?感染経路や検査・治療方法について解説
虫垂炎などの腹腔内感染や骨盤内の手術後:炎症や手術の影響で卵管周囲に癒着を起こし、影響が出ることがあります。
子宮内膜症:炎症が卵管にも波及して癒着を起こし、障害が起きている場合が見られます。
ピックアップ障害の自覚症状について
自覚症状はほとんど無く、多くの場合、不妊原因の検査で見つかります。
ピックアップ障害の検査
ピックアップ障害は、腹腔鏡等での検査で診断されます。
前述の通り、人工授精を行っても結果が得られず、腹腔鏡や子宮卵管造影検査などの詳しい検査をした際に発見されます。
ピックアップ障害の治療
ピックアップ障害自体を根本的に治す治療は存在しないため、ピックアップ障害がある場合は体外受精が行われます。
よくある質問
Q:ピックアップされなかった卵子はどこへいきますか?
排卵された卵子は腹腔内に放出されたままになります。卵子の寿命は24時間程度であるため、寿命を越えた卵子は体内に吸収されます。身体への悪影響はありません。
Q:ピックアップ障害でも妊娠できる可能性はありますか?
自然妊娠や人工授精での妊娠は難しいことがほとんどですが、体外受精を利用することで、妊娠は十分可能です。
おわりに
トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
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