着床とは?時期はいつ?
着床とは
着床とは、卵管膨大部と呼ばれる卵管の先の部分で受精した受精卵が卵管を通って子宮内膜に接着し、子宮内膜の内部に侵入するまでの過程のことをいいます。着床することで妊娠が成立します。
着床して数日が経過し受精卵が発育すると、子宮内膜と受精卵の表面に絨毛(じゅうもう)と呼ばれる細かい毛のような突起が複数ある組織が作り上げられ、そこから胎盤が形成されていきます。やがて、受精卵はその絨毛を使って母胎の血管から栄養や酸素を吸い上げて育つようになります。

着床完了までの受精卵の変化
卵管膨大部で受精した卵子は受精卵(胚)となり、受精卵は着床完了までに細胞分裂を繰り返して成長しながら卵管から子宮へと約4〜5日かけて移動していきます。細胞の数は1細胞(1個)から始まり、2細胞→4細胞→8細胞と増えていった後に、桑実胚→胞胚(この段階で着床開始)→二層性胚盤胞という過程で成長していきます。
こうして発育した受精卵の周囲にある殻(透明帯)が薄くなって亀裂が入り、その亀裂から受精卵が外に脱出をし、最終的に子宮内膜の内部に侵入することで着床が完了します。
【受精卵が胚盤胞になるまでのイメージ図】

着床の時期
受精後、卵管を移動しながら成長した受精卵は、受精後4〜5日で子宮内に到着します。受精卵は子宮に到着した後も成長を続け、受精してから約5〜7日後から着床を開始し、最終的に受精から12日後頃に着床が完了して妊娠が成立します。
なお、受精卵はいつでも着床できるというわけではなく、受精卵が子宮内膜に接着・侵入することができるのは、排卵後5〜10日前後と考えられています。この期間を「着床の窓(着床ウインドウ)」と呼ぶことがあります。
排卵から受精、着床までの流れ
排卵から着床までの流れを大きく分けると、排卵→射精→受精→着床の4段階に分けることができます。ここではそれぞれの段階で起こっていることについて詳しく解説していきます。
1.排卵
卵巣にある卵胞が成長すると、卵胞の中にある卵子も成長します。卵胞の発育は女性ホルモンの働きによってコントロールされているため、月経周期に合わせて成長していきます。その後、卵子が十分に発育し、卵胞が20mm程度まで大きくなると卵子が卵胞から飛び出します。このことを排卵といいます。飛び出した卵子は、卵管の先端にある卵管采と呼ばれる器官に吸い込まれ、卵管に取り込まれて精子との出会いを待ちます。
なお、受精しない卵子の寿命は排卵後24時間程度と考えられています。
2.射精
性交により膣内に射精された精子は、膣内→子宮頸管→子宮→卵管へと進み、受精する場所である卵管膨大部まで移動し受精を待ちます。膣内に放出された精子は、女性の体内で約3日間受精する能力を有していますが、それ以降は受精能力がなくなり死滅してしまいます。
ちなみに、1回の射精で1〜3億個以上の精子が放出されますが、その中で卵管までたどり着ける精子はほんのわずかです。
3.受精
精子と卵子が卵管膨大部で出会い、精子が卵子の中に侵入することを受精といいます。通常、卵子と結びつくことができる精子はたった1つで、1つの精子が卵子に侵入すると他の精子は侵入することができなくなります。
受精すると卵子は減数分裂をし、精子は卵子の染色体と合流する準備をします。その後受精卵は細胞分裂を繰り返しながら約4〜5日かけて子宮内に移動します。
4.着床
受精卵が卵管を通って子宮内に到着し、子宮内膜に接着してから子宮内膜の内部に侵入するまでの過程を着床といいます。受精してから約5〜7日後に着床が始まり、受精から12日後頃に着床が完了して妊娠が成立します。
着床時期の体の変化
着床時期には女性の体にさまざまな変化が訪れます。ここでは、着床時期に見られる代表的な体の変化について解説します。
着床出血
着床時期に起こりやすい代表的な症状のひとつは着床出血です。着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床する際に、子宮内膜の血管を傷つけて少量の出血を起こしてしまう現象のことをいいます。また、着床出血は着床が完了したことを示すサインのひとつとも考えられています。
着床出血が起こる時期としては大体着床の前後1〜2日程度と考えられており、出血量は少ないのが特徴です。着床したら100%起こるわけではなく、着床しても着床出血が起こらない場合もあります。
なお、着床出血は月経の開始予定日とほぼ同じタイミングで起こることが多いため、月経と間違いやすいところも特徴のひとつです。
月経との違い
着床出血は月経と同じようなタイミングで起こるため間違いやすいですが、着床出血と月経とではそれぞれ異なる特徴があります。着床出血と月経の主な違いと見分け方は以下の通りです。
※症状には個人差があるため、表の内容はあくまで目安です
着床痛
着床痛も着床時期に起こりやすい代表的な症状のひとつです。正確にお伝えすると、着床痛は医学的に明確に根拠がある症状ではありませんが、着床時期に生理痛とは若干異なるチクチクやピリピリとした腹痛または腰痛のような症状を感じる方が多いため、便宜上「着床痛」という言葉が使われることがあります。痛みの強さは人によっても異なり、生理痛のような鈍痛、胃痛、お腹や胸の張りなどを感じる方もいれば、逆に何も症状がない方もいらっしゃいます。
着床痛がなぜ起こるのかといった理由については、子宮の収縮によるものではないかといった説もありますが、明確にはわかっていません。
着床時期に起こる症状について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
妊娠かも?と感じたら
月経が予定通りに来なかったり、着床のような兆候が見られたりしても、妊娠したかどうかを自身で判断することは難しいと思います。そのため、ここでは妊娠の兆候について解説しつつ、妊娠かもと感じたときに具体的に何をすれば良いかについて紹介します。
妊娠の兆候や症状
妊娠した場合に見られる兆候や症状(妊娠超初期症状と呼ばれることもある)には個人差が大きく、こういう状態になったら、こういう症状が出たら確実に妊娠していることがわかるといったものはありません。妊娠の兆候として一般的に知られているのは、月経が予定通りに来なかったり、吐き気(つわり)になったりすることです。しかし、これらはあくまで代表的な症状で、これら以外にも以下のような兆候が見られることがあります。

妊娠検査薬の使用
妊娠かもと感じたら妊娠検査薬を使用するのも良いでしょう。妊娠検査薬を使用するタイミングとしては、月経開始の予定日から約1週間後が目安です。月経予定日やその前など早いタイミングで検査をすると、妊娠したときに分泌されるhCGというホルモンが尿中に含まれる量がまだ少なく、妊娠していても陰性になる可能性があるためです。
また、もし妊娠検査薬を一度使用して陰性だったとしても、1〜2週間程度様子を見て、生理が始まらないようでしたら再度妊娠検査薬を使用するのも良いでしょう。
妊娠検査薬を使用して陽性反応が出た場合は、妊娠検査薬の結果で自己判断せずに、必ず一度産婦人科やクリニックを受診してください。時期としては、月経予定日から数えて約1〜2週間後を目安にしましょう。
クリニックの受診
妊娠かもと感じたら、最初にクリニックを受診するのもひとつの手です。もしその時点で妊娠したかどうかがわからなかったとしても、これからどうすれば良いかといった適切な指示をもらえる上に、専門的な知識や経験がある医師に診察してもらえることで安心感が得られるからです。クリニックを受診するタイミングの目安としては、月経予定日から数えて約1〜2週間後が良いでしょう。
また、妊娠検査薬で陽性反応が出た場合も、その結果で自己判断せずに必ず一度産婦人科やクリニックを受診して確定診断を受けましょう。
よくある質問
受精から着床まで気をつけた方がよいことはありますか?
ホルモンバランスや体調を整えるために、健康的な生活習慣を維持することが大切になります。具体的には、自身にとって十分な睡眠時間の確保、ストレスの管理、バランスの良い食生活を意識すること、糖質の高い食べ物を食べ過ぎないことなどが挙げられます。
運動については、ウォーキングなどの適度な運動であれば子宮の血流改善も見込めるので問題ありませんが、フルマラソンや負荷の大きい筋力トレーニングなどの過度な運動は控えましょう。
着床失敗のサインはありますか?
着床に失敗したと判断できる最もわかりやすいサインは生理が始まることです。生理が始まるということは、子宮内膜が剥がれ落ちたことになるので、受精しなかったか受精卵が子宮内膜に着床できなかったかのいずれかのケースが考えられるためです。
おわりに
トーチクリニックでは、ブライダルチェックや不妊検査を提供しています。恵比寿駅・上野駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、土曜日も開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供していま
医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
ブライダルチェックや不妊検査にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ブライダルチェックのご予約はウェブからも受け付けております。