子宮鏡検査は、子宮内に専用のカメラを挿入し、直接観察することで異常を見つける検査です。不妊症の検査の一環として実施されることも多く、近年注目されています。本記事では、子宮鏡検査の目的、方法、注意点などを詳しく解説していきます。
子宮鏡検査とは?目的は?
子宮鏡検査は、子宮の中を直接カメラで観察し、異常がないかを調べる検査です。子宮内膜ポリープ、子宮粘膜下筋腫、さらに、中隔子宮や双角子宮といった子宮の形の異常や、子宮内部の癒着の診断にも役立ちます。不妊症や不育症の原因を詳しく調べる検査としても活用され、子宮内膜の状態や、手術が必要かどうかを判断するためにも用いられています。
子宮鏡検査では、子宮の中を観察するだけでなく、卵管通水検査を同時に行ったり、慢性子宮内膜炎の診断のために、子宮内膜の組織を一部採取する生検を行うこともあります。これらの検査結果は、適切な治療方針を決定する上で重要な情報となります。
子宮鏡検査をおこなうタイミング(時期)は?
子宮鏡検査は、一般的に子宮内膜が厚くなっていない月経終了直後に行うのが適切とされています。ただし、不正出血がある場合や、緊急に検査が必要な場合などは、時期に関係なく検査を行うことがあります。
子宮鏡検査の方法・所要時間・費用
ここでは子宮鏡検査の方法や所要時間、費用について解説しましょう。
子宮鏡検査の方法
子宮鏡検査は、生理食塩水などの灌流液を流して子宮内を見やすく広げながら、専用の細いカメラ(子宮鏡)を子宮口から挿入します。カメラを通して子宮内部の様子をモニターに映し出し、子宮内膜ポリープや子宮筋腫の有無、子宮内の癒着、子宮内膜の炎症の具合などを詳しく調べます。
所要時間
検査時間は5~10分程度です。必要に応じて組織の一部を採取する(生検)こともあります。
費用
不正出血がある場合や子宮内膜ポリープや子宮筋腫などの診断目的の場合、健康保険が適用されます。自己負担額は、検査そのものが2,400円(3割負担の場合)、別途診察料などがかかり、同時に行う検査によって金額が異なります。また、不妊症のスクリーニングとして行う場合などは、自費診療となることがあります。
子宮鏡検査における痛みの有無
子宮内に専用のカメラを挿入するため、多少の痛みや不快感を伴う場合もありますが、使用する機器や経腟分娩歴、個人の感じ方によって異なります。細いタイプの子宮鏡を使用すれば痛みは少なく、麻酔なしで検査が可能です。
ただし、子宮の入り口(子宮頸管)が狭くカメラが入らない場合、子宮頸管を広げる処置をすると痛みが強くでやすいです。そういった場合や、痛みに不安がある場合は、当院では鎮痛薬を使用することができますので、遠慮なく医師に相談してください。
子宮鏡検査で注意すべきポイント
子宮鏡検査は多くのメリットがある一方で、注意すべき点もいくつかあります。検査のタイミングや、検査後に出血がないか注意する必要があるほか、事前に性感染症の検査が必要となるケースもあります。正しい手順で検査を受けることが重要です。
以下で、それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
検査できるタイミング(時期)が決まっている
子宮鏡検査は、月経終了直後に行うのが適切とされています。これは、子宮内膜が厚くなっていない時期の方が、子宮内の状態を観察しやすいからです。子宮内膜が厚い時期や出血がある場合は、観察が難しくなります。
検査後に不正出血の症状があらわれる場合がある
検査の刺激によって、少量の出血が起こることがあります。これは通常、数日程度で治まりますが、出血が長く続く場合や、量が多い場合、強い腹痛がある場合は、速やかに医療機関に相談してください。
施術前に性感染症の検査をおこなう必要がある
子宮鏡検査の前に、クラミジア感染症などの性感染症の検査を行います。性感染症は自覚症状がない場合も多く、クラミジア検査をせずに子宮鏡検査をしてしまうと、クラミジア陽性の場合、腹腔内感染を引き起こしてしまうためです。
そのため、検査で感染の有無を確認し、必要があれば治療を優先します。検査対象となる感染症は医療機関によって異なる場合があります。
子宮鏡検査に関するよくある質問
子宮鏡検査に関する質問と回答を以下にまとめました。麻酔の有無や検査後の性行為など、注意しておきたい点などを解説していますので、確認してみてください。
また、子宮鏡検査をすることで結果として妊娠率の向上につながることがあります。この点も解説していますので、併せて参考にしてください。
Q:子宮鏡検査では麻酔を使用する?
診断目的で行われる外来での子宮鏡検査は、細く柔らかい子宮鏡を使用することで痛みが抑えられるため、基本的に麻酔なしで行われることが多いです。
しかし、痛みに敏感な方や、子宮口の状態によっては、不快感や痛みを感じることがあります。医療機関によっては、鎮痛剤や麻酔を選択できる場合もあるため、痛みが不安な方は相談してみましょう。
Q:検査後に気をつけることはある?検査当日に性行為をしてもいい?
軽度の出血や下腹部痛が数日~1週間程度続くことがありますが、通常は自然に治まります。まれに、検査に使用する灌流液が感染症の原因となることもあります。
持続する腹痛や強い腹痛、多量の出血、発熱がある場合などは、早めに医師に相談しましょう。
異物を挿入する検査のため、子宮内に細菌が入り込んでいる可能性があります。検査当日の性交渉は控えるのが望ましいです。医師の指示に従いましょう。
Q:子宮鏡検査をすると妊娠率は上がる?
子宮鏡検査は、不妊症や不育症の原因を調べるために有効な検査です。子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮内腔の癒着、慢性子宮内膜炎などが見つかった場合、適切な診断と治療を行うことで妊娠率の向上が期待できます。
不妊症の原因となる状態を特定し、治療することで、妊娠しやすい状態に近づけることが可能です。