胎動が激しくて痛い!痛みを感じる原因や対処法、注意が必要な胎動の状態を解説

最終更新日時:
2024-11-22
市山 卓彦
市山 卓彦 医師
院長 婦人科 生殖医療科 医師
2010年順天堂大学医学部卒。2012年同大学産婦人科学講座に入局、周産期救急を中心に研鑽を重ねる。2016年国内有数の不妊治療施設セントマザー産婦人科医院で、女性不妊症のみでなく男性不妊症も含めた臨床及び研究に従事。2019年には国際学会で日本人唯一の表彰を受け、優秀口頭発表賞および若手研究者賞を同時受賞。2021年には世界的な権威と共に招待公演に登壇するなど、着床不全の分野で注目されている。2019年4月より順天堂浦安病院不妊センターにて副センター長を務め、2022年5月トーチクリニックを開業。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

胎動による痛みは、赤ちゃんが成長して動きが活発になるにつれて感じやすくなります。赤ちゃんの位置や動き方によっては、お母さんのお腹や腰に強い痛みを感じることもあります。

この記事では、妊娠中の胎動について、痛みや動きの激しさの原因、そして対処法や注意点などを詳しく解説します。

胎動とは?

胎動とは、お腹の中にいる赤ちゃんの動きを、お母さんのお腹で感じることです。妊娠中期頃から感じ始める人が多く、赤ちゃんの成長をダイレクトに感じられる瞬間でもあります。

最初は小さな「ポコポコ」とした感覚ですが、赤ちゃんが成長するにつれて、より力強い胎動を感じるようになります。胎動のリズムや強さは、赤ちゃんの個性や健康状態によって異なり、お母さんの体調や食事、姿勢なども影響を与えます。

胎動はいつから感じるようになる?

胎動を感じ始める時期は一般的に妊娠16〜22週頃と言われていますが、初産婦さんの場合は少し遅く、経産婦さんの場合は早めに感じる傾向があるようです。

最初の胎動は「ポコポコ」や「ふわふわ」といったかすかな動きで、お腹の中で空気が動いているような感覚に例えられることもあります。はじめは胎動だと気づかないことも多く、赤ちゃんが成長するにつれて胎動は次第に強くなり、はっきりとしたキックや押されるような動きに変わっていきます。妊娠後期になると赤ちゃんの手足や背中の動きがよりわかりやすくなり、内臓や肋骨に当たって痛みを伴うことも出てきます。

胎動の感じ方は人それぞれで個人差が大きいものですが、リズムや強さの変化を通して赤ちゃんの成長を実感できる貴重な体験と言えるでしょう。

妊娠時期による胎動の感じ方や赤ちゃんの動きによる胎動パターンなど、より詳しい情報を知りたい方は、ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。

参考:胎動はいつから?激しくても大丈夫?感じ方やタイミングについて 

胎動が激しいとき・弱いときの赤ちゃんの状態・注意点

胎動の強弱は、赤ちゃんが元気なサインなのか、それとも何か問題があるのか、気になるお母さんも少なくないでしょう。胎動が強すぎても弱すぎても、お母さんは不安になってしまうものです。

ここでは、胎動の強弱からわかる赤ちゃんの状態や、注意すべきポイントについて解説していきます。胎動の感じ方には個人差があることを踏まえつつ、ぜひ参考にしてみてください。

胎動が激しいとき

胎動が激しいとき、赤ちゃんは順調に成長して、活発に身体を動かしています。胎動が激しすぎることで、赤ちゃんに異常があることはありません。

ただし、あまりにも激しくて痛みを感じたり、お腹が張ってしまう場合は、胎動による痛みではなく別の疾患の可能性もあります。無理せず安静にしたり、改善がなければ医師に相談しましょう。

胎動が弱いとき

胎動が弱いときには、赤ちゃんが休憩や睡眠中、または赤ちゃんが胎動を感じにくい位置にいることが考えられます。赤ちゃんも大人と同じように睡眠をとっているときは、動きが少なくなります。

また、赤ちゃんの位置や、羊水の量が多くなる時期には、羊水がクッションの働きをするため胎動を感じにくい場合もあります。

ただし、長時間胎動を感じなかったり、急に弱くなったと感じたりする場合は、病院に相談するようにしましょう。

胎動が激しいときに痛みを感じる原因

胎動が激しくて痛みを感じる原因は、主に以下の点が考えられます。

赤ちゃんの動きが強い

妊娠後期になると、赤ちゃんが大きく成長し、それに伴って動きも力強くなります。特に、赤ちゃんが蹴ったり伸びたりする動きが、母体の内臓や肋骨に当たると痛みを感じることがあります。

赤ちゃんの位置

赤ちゃんが子宮の中で位置を変えたり、回転したりする際に、母体の内臓や骨に圧力がかかることがあります。この圧迫が痛みとして感じられることがあります。

子宮の伸展

妊娠が進むと子宮が大きくなり、周りの靭帯が引っ張られます。この靭帯の伸展によって痛みが生じることがあり、赤ちゃんの激しい動きがその痛みを増強させることもあります。

内臓や血管への圧迫

赤ちゃんが元気に動くと、母体の内臓や血管が圧迫されることがあります。お腹が大きくなると、腸や膀胱が押されて不快感や痛みを感じやすくなります。

胎動が激しくて痛いときの対処法

赤ちゃんが元気に成長しているサインだとわかっていても、胎動が激しくて痛いと、お母さんはつらいでしょう。ここでは胎動の痛みを和らげる対処法を紹介します。

リラックスする

胎動が激しいときは、まず深呼吸をしてリラックスしましょう。静かな場所で横になって、体をリラックスさせます。

体勢を変える

仰向けや横向きに寝ると痛みが軽減されることがあります。自分が楽だと感じる姿勢を取りましょう。体勢を変えることで、赤ちゃんの動きが落ち着くこともあります。

お腹を軽くさすってみる

お腹を優しくさすったり、柔らかいタオルをお腹にあててみたりしましょう。

温かい飲み物を飲む

温かいお茶やミルクを飲むことで、体がリラックスし、痛みが和らぐことがあります。

休憩を取る

妊娠中は体が疲れやすいので、無理をせず休むことが大切です。激しい動きを感じたときには、安静にして体を休めるようにしましょう。

これらの方法を試しても痛みが強い場合や心配な症状がある場合は、医師に相談しましょう。

注意が必要な胎動の状態

注意が必要な胎動の状態は以下のとおりです。

急激に胎動が減少した場合

胎動が急に少なくなる、あるいは全く感じられなくなった場合は、赤ちゃんの健康状態に問題がある可能性があります。長時間にわたって胎動がない場合は、特に注意が必要です。

異常に激しい胎動

胎動が非常に激しく痛みを伴う場合は、赤ちゃんが強い圧力をかけている可能性があります。また、急に痛みが強くなる場合は、胎動ではない可能性もあります。不正出血があったり、お腹がはっている場合は、医師に相談しましょう。

不規則な胎動

胎動のリズムが急に乱れ、不規則に感じる場合も注意が必要です。妊娠が進むにつれて、胎動には通常、一定のリズムが見られるようになります。いつもとは違うパターンの胎動だと感じたら注意しましょう。

痛みが続く場合

胎動に伴う痛みが長時間続く場合や、痛みが強くなっていく場合は、子宮の収縮や本陣痛に移行する前駆陣痛などの兆候が考えられます。妊娠週数が進んでいる場合は、早産のリスクも考えられます。

これらの状況に当てはまる場合は、自己判断せず、すぐに医師に相談するようにしましょう。

胎動の異変を早期発見する方法

妊娠後期になると、赤ちゃんの胎動が一定のリズムで感じられるようになります。このリズムを把握することで、胎動の異変にいち早く気づくことができます。そのために有効な方法が「胎動カウント」です。

■胎動カウントの方法

まず、リラックスできる時間と姿勢を選びましょう。 毎日同じ時間帯に、横になったり座ったりして、リラックスした状態でカウントするのが理想的です。

そして、胎動を10回感じるまでの時間を測り、記録します。 毎日記録することで、ご自身の普段の胎動パターンを把握することができます。

赤ちゃんは、時期によりますが20~75分のサイクルで起きたり寝たりを繰り返しています。多くの場合35分以内に10回胎動を感じると言われていますが、ちょうど寝ている時間に当たってしまった場合は1時間以上かかることもあります。

普段よりも胎動が極端に少ない、あるいは全く動かないなど、異変を感じた場合は、すぐに病院に相談しましょう。 10回の胎動を感じるまでに2時間以上かかる場合も、医師に相談する目安となります。

胎動カウントは、赤ちゃんの健康状態を知るための大切な手がかりとなります。気になったときにはやってみましょう。

臨月になったときの胎動の変化

臨月に入ると、赤ちゃんの動きや、お母さんが感じる痛みに変化が見られます。

これは、赤ちゃんが成長し、子宮内でのスペースが限られてくるためです。

動きの種類が変わる

赤ちゃんが大きくなって子宮内が狭くなり、頭が下がってくると骨盤内に固定されて、これまでのように活発に動くことは難しくなります。蹴るような激しい動きは減り、代わりに、ぐにゅ~っと押されるような感覚や、もぞもぞと動くような感覚が増えてきます。

リズムが一定になる

赤ちゃん自身の睡眠と覚醒のリズムが整ってくるので、胎動にもある程度のリズムが生まれます。食後や夜間など特定の時間帯に胎動を感じやすくなることがあります。

痛みを感じることがある

赤ちゃんが子宮内で伸びをしたり、足でぐいっと押したりすることで、軽い痛みを感じることもあります。また、成長した赤ちゃんによって、母体の肋骨や膀胱が圧迫されて、チクチクとした痛みを感じることがあります。

このように、臨月になると胎動の強さや感じ方は変化しますが、胎動の頻度自体はあまり変わりません。

胎動と前駆陣痛の違い

前駆陣痛は、出産が近づいた妊娠後期に感じられる軽い子宮の収縮で、体が分娩に向けて準備をしているサインです。妊娠36~38週目頃から感じることが多いようです。

前駆陣痛は子宮が収縮することで起こり、お腹にハリを感じたり、下腹部や腰周りがキュッと締め付けられるような痛みを感じます。子宮全体が収縮するため、お腹全体が硬くなり、生理痛に似た痛みとも言われています。胎動は赤ちゃんの動きで、手足など一部だけが硬く感じます。前駆陣痛は子宮の締め付けられるような痛みが特徴です。

しかし、痛みだけで両者の違いを区別するのは難しい場合もあります。前駆陣痛は不規則で持続時間も短く、本陣痛とは異なり痛みの強さに変化がありません。ただし、痛みが徐々に強くなり、規則的に感じるようになったら、本陣痛に移行する可能性があるので注意が必要です。

胎動に関連するよくある質問

Q:胎動の激しさと性格・性別との関連性はある?

胎動の激しさと、赤ちゃんの性格や性別との関連性については、現在、科学的な根拠はありません。

胎動には赤ちゃんの状態だけでなく、羊水の量も影響します。また、お母さんの痛みの感じ方にも個人差があります。

Q:胎動が激しいと障害児の可能性がある?

胎動が激しいからといって、赤ちゃんに発達障害や障害があるという医学的な根拠はありません。

しかし、「胎動が激しいと障害があるのではないか」と心配になるお母さんもいらっしゃるかもしれません。このような誤解は、ダウン症児の中には多動症の傾向が見られる場合もあることから生じているようです。赤ちゃんの先天性疾患などに不安がある場合は、出生前診断を受けることも検討してみましょう。

以下の記事で出生前診断について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

参考:出生前診断とは?検査の種類や費用、特徴、いつまでにやるかなどを解説

Q:胎動でへその緒が絡むことはある?

胎動によって、へその緒が赤ちゃんの体や首に巻き付くことがあります。これは「巻絡(けんらく)」と呼ばれる状態で、3人に1人の赤ちゃんに見られます。

多くの場合、巻絡はそれほど心配する必要はありません。へその緒が何重にも巻きついているなど、きつい状態であると超音波検査で診断された場合や、陣痛中に赤ちゃんが苦しいサインを頻繁に出している場合には、帝王切開を選択するケースもあります。

参考:日本産婦人科医会 女性の健康Q&A 妊娠・出産

Q:逆子だと胎動の感じ方が違う?

逆子の場合、胎児の頭が上、足や臀部が下に位置するため、下腹部に胎動を感じることが多いです。

頭部が上にあるため、お腹の上の方が硬く感じるだけでなく、赤ちゃんの足が動くと膀胱を圧迫されるような感覚を覚えることもあります。

おわりに

トーチクリニックでは、将来妊娠を考えている方向けのブライダルチェックなども提供しています。ブライダルチェックは、将来の妊娠に備えることを目的に、結婚や妊娠を控えたカップルを対象にした健康状態の確認のための検査です。

トーチクリニックは恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。

医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。

ブライダルチェックにご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ブライダルチェックのご予約はウェブからも受け付けております。

また、ブライダルチェックについての解説記事もご参考ください。