男性不妊とは
不妊症とは「子供を作り始めて、1年間経っても自然妊娠に至らない状態」をいいます。不妊症には様々な原因がありますが、男性側が原因となっているものを「男性不妊」と呼びます。一般に不妊症と言うと女性に原因があると思われがちですが、実際のところ不妊症の原因の半数近くは男性が関与していることが分かっています。
男性不妊の原因として、以下に解説する様々な要因がありますが、近年では、喫煙や男性の加齢、過度のアルコール摂取、肥満、ストレス、高温環境等も男性不妊の原因となっていると報告されています。
男性不妊の原因
造精機能障害
造精機能障害とは、睾丸の機能異常により精子がつくり出せない状態のことです。造精機能障害は男性不妊の80%を占めています。精子がない、あるいは数が少ない状態や、運動性の悪い精子、奇形の精子が多く見られるのが特徴です。
睾丸上部にある血管が肥大する精索静脈瘤や、抗がん剤や放射線治療によるものなど、原因はさまざまですが、多くのケースでは原因不明といわれています。
性機能障害
性機能障害とは、性行為に対する関心・意欲が薄れたり、能力が低下したりして、うまくできなくなることをいいます。若い方の場合は心理的な要因がほとんどを占めるのですが、身体的要因によって引き起こされることもあります。
性機能障害は次の2つに分かれます。1つは勃起が起こらない、勃起した状態を維持できないために性行為がうまくいかない「勃起障害」。もう1つは、勃起はするものの射精ができない「射精障害」です。
勃起障害とは、性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、もしくは維持できないことを言います。原因にはストレスなどの心理的要因と、神経性・血管性などの身体的要因があります。
射精障害とは、何らかの原因で射精できない、あるいは、射精のタイミングが上手くいかない(早漏、遅漏)、マスターベーションでは射精が出来るが、実際の性交になると射精ができない(膣内射精障害)といった状態をいいます。
勃起障害や射精障害は、心因性のものが多いといわれています。勃起は副交感神経が優位のリラックスした状態が起こりやすいものですが、性行為そのものにプレッシャーを感じ、勃起障害を引き起こしていることも少なくありません。
精路通過障害
精路通過障害とは、精巣で精子が作られているのにもかかわらず、射精するまでの経路に異常があり精子が尿道まで出てこられない状態のことをいいます。
精路通過障害は大きく分けて三つの原因があります。一つ目は、先天性疾患である先天性両側性精管欠損症、射精管閉塞などです。二つ目は精巣上体炎などの炎症後閉塞です。三つ目は、ヘルニア術後、精管結紮術(パイプカット)術後などの医原性(医療行為が原因となるもの)です。
男性の不妊症検査について
ブライダルチェック
ブライダルチェックとは、結婚前や、結婚して妊活をしているときに、子供をつくる上で自分の精子に問題が無いか性病が無いか等、調べることをいいます。具体的には、精子検査(精子数、精子の運動率、奇形率等)、血液検査(性感染症や風しん抗体)を実施します。
精液検査
精液量、精子濃度、運動率、運動の質、精子の形態、感染の有無などを検討します。精液は、2-7日の禁欲期間(射精しない期間)の後に、用手法(マスターベーション)で全量を採取します。男性の精液性状は日によって変動するため、悪い結果が出た場合でも、再度検査をして問題ないとされることもあります。なお基準値は、近年世界標準が変更されました(表1)。
表1 精液検査の基準値
昔は子供ができないと女性に責任が押し付けられてきましたが、先述の通り現在では不妊の原因の半分は男性にもあることが分かっています。不妊治療はご夫妻で力を合わせて行うものです。
男性の不妊検査には痛いことや、つらいこと、苦しいことなどありませんので、パートナーの不安を和らげるためにも、お子さんを希望された段階で早めに検査を受けることをおすすめします。
おわりに
トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。
不妊治療にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ご予約はウェブからも受け付けております。
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