不妊検査の流れについて

最終更新日時:
2024-07-09
市山 卓彦
市山 卓彦 医師
院長 婦人科 生殖医療科 医師
2010年順天堂大学医学部卒。2012年同大学産婦人科学講座に入局、周産期救急を中心に研鑽を重ねる。2016年国内有数の不妊治療施設セントマザー産婦人科医院で、女性不妊症のみでなく男性不妊症も含めた臨床及び研究に従事。2019年には国際学会で日本人唯一の表彰を受け、優秀口頭発表賞および若手研究者賞を同時受賞。2021年には世界的な権威と共に招待公演に登壇するなど、着床不全の分野で注目されている。2019年4月より順天堂浦安病院不妊センターにて副センター長を務め、2022年5月トーチクリニックを開業。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

不妊検査とは

不妊検査は、不妊症の原因を明らかにするための多角的な検査です。検査により不妊の原因を解明することで、より効果的な不妊治療につなげることを目指します。

不妊検査の流れ

女性側の流れ

以下は初診時に実施する検査項目の一覧であり、各検査の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

女性ホルモン(E2、LH、FSH)量の測定(月経2〜5日の間に受診された場合)

血液検査により各種ホルモンの分泌を調べ、卵巣や排卵機能の状態を把握します。また、必須ではありませんが、卵子の数を反映するAMH(抗ミュラー管ホルモン)の測定も可能です。

一般血液検査(白血球、ヘモグロビン、血小板等)

重度の貧血は卵巣機能を低下させ、不妊症の一因となります。また、妊娠が成立した後も、貧血は赤ちゃんの低酸素状態の要因となり得、低体重や早産のリスクとなります。その他にも血液検査は様々な身体の状態を反映するため、不妊症の原因となり得る要因を調べる検査となります。

感染症検査(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV)

感染症の有無を血液検査で調べます。これらの感染症は母子感染のリスクがあるため、妊娠前の段階で治療や感染予防の措置を検討します。

また、風疹抗体の検査をすることも可能です。風疹は胎児にとって悪影響となるため、過去にワクチン接種をされていない場合は検査を推奨しています。

甲状腺検査

甲状腺ホルモンは女性ホルモンの分泌に関与するため、甲状腺ホルモンの分泌を血液検査で確認します。

クラミジア検査

クラミジアへの感染歴を、血液中の抗体から調べます。クラミジアに感染していると卵管の通りが悪くなり、不妊症につながる可能性があるため、必要な治療につなげるための検査になります。

ビタミン検査

特にビタミンDの欠乏の有無を、血液検査から調べます。ビタミンDが不足すると受精卵が子宮に着床しづらくなり、胎盤の形成も不十分となり得ることが知られています。

経腟超音波検査

子宮や卵巣の状態を確認するため、細い超音波プローブを膣から挿入し検査します。また、子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症などの有無も調べます。

子宮頸がん検査

必須ではありませんが、子宮頸がん検査も実施可能ですのでご要望のある方は担当医にご相談ください。

子宮卵管造影検査

初診時の検査によってクラミジア感染症、甲状腺機能の異常がみられなかった場合は子宮卵管造影検査を行います。これは月経10日目前後に実施し、卵管の詰まりや子宮の形状をX線検査で確認します。

男性側の流れ

初診時には、女性同様に血液検査でB型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIVの感染歴を調べます。これらの感染症は性交渉によりパートナーの感染にもつながるため、男性側も検査が必要です。必須ではありませんが、風疹抗体の検査も推奨しています。

また、精子の状態を調べる精液検査を別途行うことで、男性不妊の原因を明らかにします。この場合、2-5日間禁欲していただいた後に精液を採取していただきます。

よくあるご質問・Q&A

不妊検査の初診で何をするのでしょうか?

初診時には、女性側では血液検査、経膣超音波検査を行います。男性側では血液検査を行います。これらに加えて、男女共に風疹抗体の有無を、また女性側ではさらに詳細な血液検査や感染症検査、子宮頸がん検査などを行うことができます。

不妊検査の最初の検査の費用はいくらですか?

初診時には、女性側:27,100円分、男性側:7,000円分の検査を実施します。これらは最低限の検査項目であり、より詳細な検査を追加で実施することも可能です。

各項目の費用について、詳しくはこちらをご覧ください。

不妊検査の費用はどのくらいかかりますか?

初診時の検査でクラミジア感染症や甲状腺機能の異常がみられなかった場合、女性側では子宮卵管造影検査(30,000円)を、男性側では禁欲後2-5日で精液検査(3,000円)を実施します。これらには別途診断料が加算されます。

不妊検査の時間はどのくらいかかりますか?

月経開始から2-5日目で初診に来られた場合、初診時の血液検査で女性ホルモン量を測定することができます。追加の子宮卵管造影検査を行う場合は月経開始から10日前後で実施します。したがって、女性側は最短で約5日間で検査が終わります。

不妊検査は女性側または男性側だけで受けられますか?

男性側が原因の不妊は、不妊症全体の約50%を占めています。男女どちらに不妊症の原因があるかを突き止めることは、効果的な不妊治療を行う上で非常に重要です。そのため、カップルで不妊検査を受けることをおすすめします。

不妊検査だけしたいのですが可能ですか?

可能です。他の医療機関で既に受けた検査がある場合は、それ以外の検査項目を実施することもできます。また不妊症状がない場合でも、ブライダルチェックとして包括的な検査を実施することができます。ブライダルチェックについては、こちらもご参照ください。

おわりに

トーチクリニックでは、ブライダルチェックを提供しています。恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、毎日(土日祝も含め)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。

医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。

ブライダルチェックにご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ブライダルチェックのご予約はウェブからも受け付けております

また、ブライダルチェックについての解説記事もご参考ください。