妊娠率を上げるには、妊娠しやすいタイミングや頻度の把握、生活習慣の改善、そして医療機関の活用が重要です。本記事では、妊娠しやすいタイミングや頻度のほか、男女別の生活習慣チェックリスト、タイミング法・人工授精・体外受精まで、妊娠確率を高めるために試したいことなどを解説します。
妊娠が成立する仕組み

妊娠するには、卵巣から排卵された卵子が、精子と卵管内で出会い、そこで受精することが必要です。卵管内で受精した受精卵は、その後、細胞分裂を繰り返しながら、卵管内を移動して子宮内に到達し、子宮内膜に着床します。受精卵が着床したタイミングで妊娠成立とみなします。
妊娠率を上げるには?
妊娠率を上げるためにできることとして以下が挙げられます。
- 妊娠しやすいタイミングや頻度を把握する
- 妊娠しやすい体を目指す
- 医療機関を利用する
生理周期の中で妊娠の可能性がある時期と妊娠しにくい時期があり、このタイミングを把握することが重要です。また、タイミングを把握していても1回の性行為で妊娠できるわけではなく、一定の頻度で性行為を実施することで妊娠する確率が上がります。
また、生活習慣を整えて妊娠しやすい体を目指すことは、女性と男性の双方で有効です。
一方で個人で妊娠率を上げる施策には限界もあり、どこかのタイミングで医療機関を要することを検討することも重要です。年齢や体の状態による面もあるものの、専門家の指導や治療によって妊娠の確率が大きく上がる可能性があります。
これらの点について、それぞれ詳しく解説します。
妊娠しやすいタイミングや頻度を把握する

前述のとおり、生理周期の中には妊娠の可能性がある時期と、可能性がほとんどない時期があり、これらを把握することが妊娠率を上げることにつながります。妊娠の可能性があるのは排卵5日前〜排卵日当日、特に妊娠しやすいタイミングは排卵日の1〜2日前とされています1)。
このように、妊娠の確率を上げるには排卵日を予測してそこを基準に性行為を実施するタイミングをとることが重要です。排卵日を完全に把握することは難しいですが、個人でも排卵日を予測する方法はいくつかあります。
個人で排卵日を予測する方法
個人で排卵日を予測する方法として以下のような手段が挙げられます。
上記の手段を組み合わせて排卵日を予測するようにしましょう。
排卵日の予測については以下の記事でも詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
関連記事:排卵日はいつ?妊娠しやすいタイミングと計算方法について解説
妊娠の確率を高める性行為の頻度や回数
アメリカ生殖医学会(ASRM)からは、妊娠可能な期間中に1〜2日に1回の頻度で性行為をすることで最も妊娠率が高くなると言われています2)。ただし、カップルによって状況が異なるため、パートナーとは無理のないペースを心がけるようにしましょう。
なお、男性側の頻繁な射精は、生殖能力にマイナスな影響がイメージされる場合もありますが、精液検査で正常だった男性では毎日の射精でも精子濃度と運動性は正常だったという研究結果があります2)。
妊娠の確率を高めるためには、前述の妊娠しやすいタイミングにおいて、無理のない範囲で複数回の性行為を心がけてみましょう。
行為後のトイレやシャワーは妊娠率には影響しない
性行為の後、すぐにトイレに行ったりシャワーを浴びることで妊娠率に影響がでるのではないかと不安に思う人もいるかもしれません。
結論として、性行為後のトイレやシャワーは妊娠率には影響ないと考えられています。性行為後にトイレで排尿をしても、尿道と子宮の経路は完全に分かれているため、原則として影響は考えられません。
シャワーの使用に関しても、受精を目指す精子は射精後すぐに子宮頸管(腟と子宮をつなぐ管)内で見つかることが知られており2)、腟内から移動しているため、妊娠への影響はないと考えられます。
妊娠しやすい体を目指す|食べ物やサプリはある?
妊娠率を上げるためには、生活習慣を整え妊娠しやすい体を目指すことも重要です。
ここでは、長野県妊活支援サイト3)を参考に、生活習慣を中心とした男女別の妊娠力アップに向けた注意点をチェックリスト形式で紹介します。
※BMIの計算方法
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
【女性用】妊娠に備える生活習慣チェックリスト
妊娠しやすい体をつくるため、以下のチェックリストに沿った生活習慣ができているか確認してみましょう。
まずは実践しやすいものから取り組み、妊娠にむけた体づくりをはじめましょう。
【男性用】妊娠に備える生活習慣チェックリスト
男性の場合は、精子の質を高める生活習慣が求められます。チェックリストとご自身のライフスタイルを照らし合わせてみましょう。
精子の質を短期間で劇的に変化させることは難しいため、長期的な視点で生活習慣を整えていきましょう。
医療機関を利用する
妊娠率を上げることを目指す場合、妊娠しやすいタイミングや頻度を把握したり、妊娠しやすい体を目指すことは大切ですが、個人でできる範囲には限界もあります。一定期間で効果が出なかったり、年齢や体調の面から早期に妊娠を目指す場合は、医療機関の受診を検討することも重要です。
医療機関でできる検査や治療として、代表的なものは以下のとおりです。
- ブライダルチェックや不妊検査
- 負担の少ないタイミング法
- 一般不妊治療の次のステップである人工授精
- 体外受精や顕微授精(生殖補助医療)
それぞれ詳しく解説します。
ブライダルチェックや不妊検査
妊娠率を上げるためには、現在の体の状態を把握しておくことも重要です。もし妊娠する上での問題が見つかった場合は、その対処や治療法を実施することで、今までよりも高い確率で妊娠を目指せる可能性があります。
ブライダルチェックは結婚や妊娠を予定している方が将来の妊娠に備えて自身の健康状態を確認するための検査です。医療機関によって値段や検査項目が異なりますが、妊娠を目指す人が気軽に受けられる検査といえます。
一方で不妊検査は妊娠しにくい根本的な原因を調べるものです。ブライダルチェックと同じ検査項目もありますが、より専門的な検査も含まれる場合があります。
ブライダルチェックに関しては以下のページでも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連ページ:女性ブライダルチェック
関連ページ:男性ブライダルチェック
負担の少ないタイミング法
タイミング法は、検査を行いながら妊娠が起こりやすい時期に性行為のタイミングを合わせ妊娠を目指します。不妊治療の中でも身体的・金銭的な負担の少ない方法です。
一般不妊治療に分類されるものの、医師が体に直接処置をするわけでなく、排卵日をより正確に予測して通常の性行為によって妊娠を目指すことになります。
ただし、排卵日を予測するために超音波検査を実施したり、排卵誘発剤を使用することもあるため、一定回数の受診は必要となります。
タイミング法の詳細については、以下のページもあわせてご覧ください。
関連ページ:タイミング療法
タイミング法の成功率を上げるには?
タイミング法の成功率を上げるには、まずは指定されたタイミングをしっかり守ることが重要です。
また、医師の判断により排卵誘発剤の使用を提案される場合もあります。医療機関とコミュニケーションを取りながら進めましょう。
タイミング法の成功率や妊娠率を上げるために試したいことの詳細は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:タイミング法の成功率は?妊娠率を上げるために試したいことを解説
一般不妊治療の次のステップである人工授精
一般不妊治療のタイミング法の次のステップは人工授精です。
人工授精(AIH)は、採取した精液から運動性の高い精子を選別・濃縮し、細い管(カテーテル)を使って子宮内へ直接注入する治療法です。
人工授精と聞くと非常に高度な処置だと思われるかもしれませんが、超音波で排卵日を予測することはタイミング法と同じです。タイミング法との違いは、性交渉なのか、調整した精子を外来診察で子宮に注入するかの違いで、通常の自然妊娠と同じ経過を辿ることになります。
人工授精の成功率を上げるには?
人工授精は医療機関での処置が主要な工程であるため、生活習慣を整えることに加えて、医療機関からの指示をしっかり守ることが重要となります。
受診したときのアドバイスを守ったり、薬剤を使用する場合は決められた用法用量で使用するようにしましょう。
なお、原因不明の不妊症(機能性不妊)では、排卵誘発を併用した人工授精が、タイミング法よりも妊娠率が高くなることが知られています4)。
生殖補助医療の体外受精や顕微授精
タイミング法や人工授精の一般不妊治療の次のステップとして、生殖補助医療に分類される体外受精や顕微授精があります。
体外受精は卵巣から卵子を取り出し、体外で精子と受精させ、培養した後に子宮に戻す治療法です。顕微授精は、卵巣から取り出した卵子の中に直接精子を注入して授精させる方法です。いずれも高度な技術が必要な治療法であり、一般不妊治療に比べると実施できる医療機関も限られます。
体外受精や顕微授精については以下のページでも詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
おわりに
参考文献
1)日本産婦人科医会.9.タイミング.日本産婦人科医会ウェブサイト
https://www.jaog.or.jplecture/9-タイミング/
2)American Society for Reproductive Medicine. Optimizing natural fertility: a committee opinion . American Society for Reproductive Medicine website.
https://www.asrm.org/practice-guidance/practice-committee-documents/optimizing-natural-fertility-a-committee-opinion-2021/
3)長野県 健康福祉部 疾病・感染症対策課 母子保健係. 妊活について. 妊活ながのウェブサイト
https://ninkatsu.pref.nagano.lg.jp/preconception-care/about/
4)令和4年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業(健やか次世代育成総合研究事業) 標準的な生殖医療の知識啓発と情報提供のためのシステム構築に関する研究. 患者さんのための生殖医療ガイドライン
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202327003B-sonota1.pdf

