保険と自費の違いは?ピルの処方について

最終更新日時:
2024-01-30
市山 卓彦
医師
torch clinic医師

高い避妊効果や生理諸症状の改善などのメリットが得られる低用量ピル。この記事では、低用量ピルの服用方法や保険適用、ジェネリック医薬品について、そして薬を変えるタイミングといった理解が難しいポイントを分かりやすく解説します。

低用量ピルとは

低用量ピルとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という二種類のホルモンが配合された薬剤のことで、OC(Oral Contraceptives)とも呼ばれます。高い避妊効果だけでなく、生理痛や生理不順の緩和、PMSや肌荒れの改善など、さまざまな効果が得られます。 また低用量ピルを長期に服用することで、卵巣がんや子宮体がん、大腸がんのリスクを軽減することができます。 低用量ピルの中でも、薬剤に含まれるホルモンの量や種類によってさまざまな種類があります。

ピルの選び方はこちら

低用量ピルの服用方法

低用量ピルには1シートに含まれる薬剤が21錠のタイプと28錠のタイプがあります。どちらのタイプでも1日1錠、毎日決まった時間に飲むのは同じです。生理の初日から5日目までに服用を開始します。服用開始後は、休薬の期間もしくは偽薬の服用期間に生理(消退出血)が起こります。 飲み忘れを防ぐためには、リマインダーの設定などが有効です。

21錠タイプの場合

21錠タイプは、1シート21錠全てにホルモンが含まれています。21錠を毎日決まった時間に服用した後、7日間休薬します。その後、次のシートの服用を開始します。

28錠タイプの場合

28錠タイプでは、偽薬が含まれている薬剤と含まれていない薬剤があります。

  • 21錠の実薬+7錠の偽薬 または 24錠の実薬+4錠の実薬 ホルモンが含まれている実薬と、ホルモンが全く含まれていない偽薬(プラセボ)が1つのシートに含まれています。実薬を1日1錠決まった時間に毎日服用した後、偽薬を1日1錠服用します。シートに含まれる全ての錠剤を服用したら、次のシートの服用を開始します。 偽薬は飲み忘れても問題ないため、飲み忘れた場合はその1錠を破棄しましょう。
  • 28錠全てが実薬 ジェミーナ(28)やヤーズフレックスの場合は、28錠のシートですが偽薬は含まれていません。ジェミーナは77日間、ヤーズフレックスは最長120日間連続で実薬を服用した後、休薬期間を設けます。

保険適用と自費の違い

低用量ピルは、服用する目的や薬剤によって保険適用になる場合と自費診療になる場合があります。

  • 保険適用になる場合 月経困難症や子宮内膜症の治療薬として日本で処方できる低用量ピルはLEP(Low dose Estrogen Progestin)と呼ばれます。月経困難症や子宮内膜症の治療のためにLEPを服用する場合、保険適用となります。 <LEP一覧>(太字はtorch clinicで取り扱いのある薬剤) フリウェルLD、フリウェルULD、ルナベルLD、ルナベルULDジェミーナヤーズヤーズフレックス
  • 自費診療になる場合 主に避妊を目的に服用される低用量ピルはOC(Oral Contraceptives)と呼ばれます。OCにも生理諸症状を改善する効果はありますが、OCを服用する場合は目的に関わらず自費診療となります。 <OC一覧>(太字はtorch clinicで取り扱いのある薬剤) シンフェーズ、トリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュ、マーベロン、ファボワール

先発医薬品とジェネリックの違い

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品と同じ有効成分を同じ量含む薬剤のことです。先発医薬品の開発からしばらく経って別の製薬会社が製造したもので、先発医薬品と同等の効果が得られます。研究開発費を低く抑えられるため、先発医薬品に比べて価格が安くなります。

低用量ピルの先発医薬品とジェネリック医薬品の組み合わせは以下の通りです。torch clinicでは以下の太字で示したジェネリック医薬品を取り揃えています。

先発医薬品ジェネリック医薬品
ルナベルLD/ルナベルULDフリウェルLD/フリウェルULD
アンジュ・トリキュラーラベルフィーユ
マーベロンファボワール

薬の種類を変えるタイミング

低用量ピルを服用する中で、何らかの症状やご希望がある場合、薬剤の種類を変更することができます。

  • 副作用が強い場合 服用を続けることで副作用が改善する場合も多いです。まずは1ヶ月服用し、継続が難しい場合は医師との相談のもと、変更を検討します。
  • 生理の回数を減らしたい場合 低用量ピルの中でも、ジェミーナは77日間、ヤーズフレックスは最長120日間連続でホルモンが含有された錠剤を飲み続けることができ、生理(消退出血)の回数を減らすことができます。今よりも生理の回数を減らしたい場合、ジェミーナやヤーズフレックスへの変更を検討します。
  • ピルの副効果を期待したい場合 ニキビの改善などのピルの副効果を期待したいというご希望があれば、ヤーズフレックスなどの薬剤への変更を検討します。

薬剤を変更するタイミングについては、基本的には一度現在のシートを飲み終えるか、いったん服用を中止し次回の周期から種類を変更することがすすめられます。

低用量ピルは、薬剤によって服用方法や費用が異なる場合があります。一見複雑に感じますが、服用により得られるメリットも多いです。低用量ピルの服用を検討している方や服用についてもっと詳しく知りたい方は、お気軽にtorch clinicにご相談ください。