妊娠週数と出産予定日は、妊娠の経過を知る上で非常に大切です。この記事では、妊娠週数や出産予定日の計算方法を詳しく解説いたします。基礎的な数え方から、妊娠の進行に合わせた計算方法まで、わかりやすく説明します。
妊娠週数・月数の数え方
一般的に妊娠時期は「 ◯週 ◯日 」や「 ◯か月 」として示されます。
妊娠週数の数え方
妊娠前の最後の月経が始まった日を0週0日として数えます。 0週6日まで数え、その翌日は1週0日として数えます。
妊娠月数の数え方
0週0日から3週6日までの4週間を妊娠1か月目として数えます。 ただし、生理周期の個人差や受精時期のずれにより、妊娠の週数や月数が正確ではないことがあります。また、超音波検査による赤ちゃんの発育状況から予定日が修正されることもあります。
最終月経や排卵日がわからない場合
最終月経や排卵日がわからない場合には、超音波検査で胎児の大きさを調べることで、推定妊娠週数を計算できます。
通常は妊娠8〜10週を目安として、胎児の頭殿長(CRL、頭の先からお尻までの長さ)から妊娠週数を推測します。妊娠週数が進んでくると、胎児の発育に個人差がみられやすくなります。妊娠8〜10週における頭殿長には個人差が少ないとされており、この時期を目安に妊娠週数の推測・修正が行われます。
分娩予定日の計算方法
正確な分娩予定日を把握することは、母体の健康管理をするうえで大切です。分娩予定日を計算する方法を大別すると、簡易的に計算する方法と、医師が最終月経と胎児の大きさをもとに計算する方法の2つに分けることができます。
分娩予定日は、流産・早産、胎児発育不全などを診断する際に必要です。正確に把握する必要がある場合は、医師の診断を受け、あくまで参考までに把握したい場合は簡易的な計算方法を使用しましょう。それぞれの具体的な計算方法は以下の通りです。
簡易的な計算方法
最後の月経開始日を妊娠0週0日とし、そこから妊娠40週0日である280日目にあたる日を分娩予定日とします。例えば、1月1日が最後の月経開始日だった場合は、その年の10月8日が分娩予定日になります。
医師による分娩日の決定方法
産婦人科診療ガイドラインによると、分娩予定日は、妊娠初期に以下の情報から決定することになっています。
1.胚移植日か、特定できる排卵日
2.通常の月経周期と最終月経
3.妊娠8〜10週相当の頭殿長(CRL ※1)や妊娠11週以降の児頭大横径(BPD ※2)の超音波計測値1)
※1 胎児の頭からお尻までの長さ
※2 胎児の頭の横幅が最も長い場所の直径
妊娠期間の区分における赤ちゃんの発育過程と母体の変化
妊娠期間は初期・中期・後期と3つの区分に分けられています。
ここでは各区分における赤ちゃんの発育過程と母体の変化をカレンダー形式で解説します。
妊娠初期のカレンダー
妊娠中期のカレンダー
妊娠後期のカレンダー
出典:厚生労働省, 一般財団法人女性労働協会. 職場における母性健康管理パンフレット: 厚生労働省; 2019.https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/document/data/pamphlet_2019_02.pdf を参考に作成
妊娠検査薬を使用するタイミング・注意点
妊娠しているかどうかを簡単に調べるには、妊娠検査薬が便利です。妊娠検査薬を使うタイミングは、生理周期が規則的な場合、生理予定日の約1週間後が目安です。
妊娠検査薬は、妊娠によって尿の中に排出されるホルモンを検出することで、妊娠しているかどうかを判別する仕組みになっています。妊娠初期はホルモンの排出量が少ないため、検査薬の使用が早すぎると正しく判別できません。ホルモンの排出量が検出に必要な量に達すると考えられている妊娠4週前後、つまり生理予定日の約1週間後くらいが目安と考えられています。
妊娠検査薬は妊娠の有無を比較的簡単に知ることができますが、流産や子宮外妊娠などのリスクまでは把握できません。そのため、陽性反応が出た場合は、必ず病院を受診して妊娠の確定診断を受けましょう。
また、陰性だったとしても、生理が来ない日が続く場合は、他の病気が隠れている可能性もあります。そのため、病院を受診することをおすすめします。
産婦人科を受診するタイミング
産婦人科を受診するタイミングとしては、生理予定日の約1〜2週間後がひとつの目安です。そのタイミングで、胎嚢が子宮内にあるのか、そして胎嚢が確認できた場合は赤ちゃんの心拍が確認できるのかどうかを検査します。
流産や子宮外妊娠の兆候に気づくのが遅れないためには、適切なタイミングで産婦人科を受診することが重要です。しかし、生理が遅れてすぐに受診しても、胎嚢の有無や赤ちゃんの心拍が確認できない場合があります。産婦人科を受診するタイミングは、生理予定日の約1〜2週間後を目安にしましょう。
妊娠週数や出産予定日に関連するよくある質問
Q:出産予定日はいつわかる?
最終月経開始日が分かる場合は、先述の通りすぐに出産予定日を計算することができます。もし最終月経開始日が分からない場合は、胎児の頭殿長を計算して出産予定日を算出します。
詳しくはこちらの記事をお読みください。
Q:出産予定日がずれるのは良くない?
出産予定日を過ぎても陣痛が来ないと不安になるかもしれませんが、予定日はあくまでも目安です。妊娠40週0日に一律に設定されていますが、この日にぴったり生まれてくることはほとんどありません。分娩は37週から41週が正期産です。健診を受けながら、焦らずリラックスして過ごしましょう。
Q:人工授精・体外受精・胚移植の場合の出産予定日は?
一般不妊治療(人工授精)や体外受精の場合は、出産予定日の算出の仕方が特殊です。
詳しくは以下の記事をお読みください。
Q:NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)を受けられるタイミングは?
NIPTとは、胎児に病気や身体のつくりの特徴があるかどうかを調べる出生前検査のひとつで、遺伝カウンセリングを行ったうえで母体から血液を採取して、血液中に浮遊しているDNAの断片を分析する検査です。この検査により、胎児に染色体疾患があるかどうかを知ることができます。
NIPTを受けられるタイミングは病院によって若干の差がありますが、おおむね妊娠9〜10週以降、遅くとも16週以内が適切と考えられています。
なお、NIPTでは全ての染色体疾患を見つけられるわけではなく、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーの3つの染色体疾患についてのみが対象となる点に注意しましょう。
出生前診断についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
参考:出生前診断とは?検査の種類や費用、特徴、いつまでにやるかなどを解説
おわりに
トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
恵比寿駅・上野駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、土曜日も開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。不妊治療にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。
ご予約はウェブからも受け付けております。
また、すでに不妊治療を受けている方々のお悩みやセカンドオピニオンにも対応しております。セカンドオピニオンを含めたクリニックへのよくあるご質問はこちらをご参考ください。
参考文献
1) 日本産科婦人科学会. 日本産科婦人科学会産婦人科診療ガイドライン - 産科編 2023年版. 日本産科婦人科学会, 2023. 閲覧日2025/1/12 .
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2023.pdf