排卵日は妊娠確率が高い?妊娠しやすいタイミングと妊活について

最終更新日時:
2024-11-27
市山 卓彦
市山 卓彦 医師
院長 婦人科 生殖医療科 医師
2010年順天堂大学医学部卒。2012年同大学産婦人科学講座に入局、周産期救急を中心に研鑽を重ねる。2016年国内有数の不妊治療施設セントマザー産婦人科医院で、女性不妊症のみでなく男性不妊症も含めた臨床及び研究に従事。2019年には国際学会で日本人唯一の表彰を受け、優秀口頭発表賞および若手研究者賞を同時受賞。2021年には世界的な権威と共に招待公演に登壇するなど、着床不全の分野で注目されている。2019年4月より順天堂浦安病院不妊センターにて副センター長を務め、2022年5月トーチクリニックを開業。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

妊娠を希望するカップルの方々の多くは、まず排卵日に合わせたタイミング法を試みます。

本記事では、排卵の仕組みや、妊娠しやすいタイミング、身体づくりについて解説しています。妊活に取り組む際の参考にしてください。

排卵の仕組みと妊娠について

排卵日とは、卵巣から成熟した卵子が放出される日のことです。ホルモンの働きによって卵巣内で卵胞が成長し、成熟したタイミングで卵子が排出されるのが排卵です。排卵は月経周期の中頃に起こります。

排卵後、卵子は卵管膨大部と呼ばれる場所で精子と出会い、受精します。受精卵が子宮内膜に着床すると、妊娠が成立します。

排卵は月経周期の中頃に1回だけ起こり、1回に排出される卵子は通常1つです。そのため、妊活において排卵日を意識することはとても重要です。

排卵日と妊娠確率の関係

妊娠しやすい性交渉のタイミングは、排卵日の4~5日前から排卵日当日までの数日間です。その中でも、特に妊娠確率が高いのは、排卵日の1~2日前です。

これは、卵子は排卵後24時間しか受精能力がないのに対し、精子は約3~5日間受精能力があるためです。

排卵日から1日以上経過すると、卵子は受精能力を失ってしまうため、次の排卵まで受精の可能性は低くなります。

卵子の受精確率は、排卵後10数時間が最も高く、その後24時間までは徐々に低下していきます。

妊娠成立の確率は、20代~30代前半で約20~30%、30代後半で約10%です。これらの確率は、不妊の原因がなく、排卵のタイミングに合わせて性交渉を持った場合の数値です。妊娠を希望する場合は、4~6か月程度、焦らずに試みることが推奨されます。

ライフステージを考慮して本格的に妊活に取り組む場合は、早い段階で専門医に相談し、適切な指導や治療を受けることをおすすめします。

排卵日を予測する方法

女性の排卵日に合わせて性交渉を行うことで、妊娠の確率を高める「タイミング法」を行うためには、排卵日を予測することが重要です。排卵日を把握するには、以下の3つの方法があります。

  • 月経周期から予測する
  • 排卵検査薬を使用する
  • 病院で超音波検査を受ける

月経周期が規則的な場合は、次の式で排卵日を予測できます。

排卵日 = 次の月経開始予定日ー14日

通常、排卵してから14日後に月経がくるので、排卵までの日数は、月経周期が28日周期の場合は月経開始日から約14日、30日周期の場合は約16日です。

月経周期が規則的か不規則かに関わらず、月経期間を記録して、月経周期のパターンを把握するようにしましょう。併せて、基礎体温を記録することも有効です。基礎体温は、少なくとも2か月間は記録を続けましょう。周期的に基礎体温が高くなる高温期が見られる場合は、高温期に入る前に排卵が起こっていると考えられます。

排卵検査薬は、次回の月経開始予定日の17日前から検査を開始します。排卵検査薬の使い方について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。

参考:排卵日予測検査薬の基礎知識:正しい使い方とタイミングを知って妊活に活かそう

病院での超音波検査では、卵胞の大きさを確認することで排卵日を予測します。卵胞の直径が約20mmになると排卵が起こるため、定期的な検査で卵胞の成長を観察し、排卵日を特定します。

さらに、超音波検査と併用して、排卵検査薬で尿中の黄体化ホルモン(LH)の上昇を調べることもあります。LHの上昇は排卵の直前に起こるため、排卵日をより正確に予測することができます。

妊活のタイミングについて

排卵日を把握したら、精子と卵子の受精可能期間を考慮します。妊活に適した時期は以下の通りです。

  • 精子の生存期間:性交渉後約3〜5日間
  • 卵子の受精確率が高い期間:排卵後10数時間
  • 妊活に最適な期間:排卵日の4〜5日前から排卵日まで

精子が卵管膨大部に到着するまでの時間は、平均30分から数時間と幅があります。男性の体調や精子の状態によっては、卵管膨大部に到達できない場合もあるため、妊活を始める前にカップルで検査を受けておくのも良いでしょう。

妊活に適した排卵日前の数日間は、3回程度を目安に複数回性交渉を行いましょう。

より正確に排卵日を把握して妊活するには、専門医の指導を受けるタイミング法もあります。タイミング法では、排卵誘発剤を用いる場合と用いない場合があります。状況に応じた適切な指導や治療を受けることができます。

妊娠しやすい身体づくり

タイミング法に取り組む際には、適切な体重維持、ストレスの管理、適度な運動などに留意し、妊娠しやすい身体づくりにも同時に取り組みましょう。

適切な体重を維持する

妊娠しやすいとされるBMIは20~24kg/m²の範囲です。

BMI = 体重(kg)÷ {身長(m)× 身長(m)}

過度な肥満や痩せは不妊の一因となる可能性があるため、適切な体重管理を心がけましょう。体重が適正範囲外だと、ホルモンバランスが乱れたり、排卵が不規則になることがあります。

ストレスを溜め込まない

強いストレス状態が続くと、女性はホルモンバランスが乱れ、排卵に影響を及ぼすことがあります。また、男性は慢性的な疲労によるストレスが精子を作る能力に悪影響を与えることが知られています。

忙しい日々でも疲労やストレスを溜め込まないように、休息や気分転換になる時間を持つことが大切です。

食生活の改善

妊活中は、食事のバランスを意識しつつ、栄養素については以下の点に留意しましょう。足りない栄養素はサプリメントなども取り入れて補うと良いでしょう。

  • 糖質は白米や食パンより全粒粉など精製度の低いものを選び、血糖値の急上昇を防ぎます。
  • 脂質については、排卵や精子の状態に悪影響があると報告されているトランス脂肪酸を含むものを避けるようにします。
  • 葉酸は、神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低下させるため、妊娠前からサプリメントで400μgの追加摂取が推奨されています。
  • ビタミンDは女性の着床率向上や男性の精液改善に役立つとされています。

適度な運動と睡眠

適度な運動は、身体の血流改善や体重維持に役立ちます。また、運動後の適度な疲労感は質の良い睡眠にもつながります。

睡眠時間は6~7時間とることが推奨されています。

タイミングを狙っても妊娠しづらい場合はクリニックへ

妊娠しやすいタイミングに性交渉を持っても妊娠しない期間が続いた場合には、早めに専門医のいる病院を受診しましょう。専門医によるタイミング法の指導をはじめ、妊活に取り組む方の状況に合わせた指導や治療を受けることができます。

おわりに

トーチクリニックでは、将来妊娠を考えている方向けのブライダルチェックなども提供しています。ブライダルチェックは、将来の妊娠に備えることを目的に、結婚や妊娠を控えたカップルを対象にした健康状態の確認のための検査です。

トーチクリニックは恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。

医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。

ブライダルチェックにご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ブライダルチェックのご予約はウェブからも受け付けております。

また、ブライダルチェックについての解説記事もご参考ください。