後期つわりとは?主な症状について
つわりとは、基本的に妊娠初期から中期(妊娠5週〜16週頃)に起こる吐き気や嘔吐、食欲不振などの症状のことを言います。
しかし、妊娠後期(妊娠28週〜)にも同じような症状が現れることがあります。この症状について「後期つわり」という言葉が使われていますが、医学的な用語ではないため、専門的な定義はなく、症状の出現時期などは明らかになっていません。
個人差がありますが、次のような症状が後期つわりの症状としてあげられます。
- 吐き気・嘔吐
- 胃の不快感
- 胸焼け・食欲不振
- 便秘
- 動機や息切れ
- 頭痛
後期つわりが起きる原因
後期つわりの原因として、子宮による胃の圧迫とホルモンの影響が考えられます。
子宮による胃腸の圧迫
妊娠が進むにつれて、大きくなった子宮は胃や腸を圧迫します。
胃が持ち上げられることで胃液が食道に流れやすくなり、胸焼けや吐き気などの症状を起こすことがあります。
胃が圧迫されることで、通常より食べ物の消化に時間がかかることも原因のひとつであると考えられています。
ホルモン分泌の影響
妊娠の維持に重要なホルモンであるプロゲステロンは、妊娠後期にかけて増加します。プロゲステロンには、胃や腸の筋肉を弛緩させる作用があり、その採用によって消化管の運動機能が低下します。
すると、胃や腸のぜん動運動が減少し、食物の消化管通過時間が延長するため、消化不良が起こり、吐き気や嘔吐などの症状が引き起こされやすくなるのです。
後期つわりはいつまで続く?
後期つわりは、始まる時期や終わる時期、症状についても個人差が大きいです。
ただ、一般的に、36週頃〜赤ちゃんが徐々に骨盤の中へ下がっていくと、胃への圧迫が軽減されるため、つわりの症状が落ち着いてくる傾向があります。しかし、出産まで症状が続く場合や妊娠の経過とともに症状が悪化する人も少なくありません。
後期つわりの吐き気をやわらげるには?
妊娠後期は、赤ちゃんの成長に伴ってお腹も大きくなるため、疲れやすかったり、腰痛があったりと、体の変化もよりいっそう感じる時期でしょう。
ここでは、後期つわりの吐き気をやわらげるための対策を紹介します。
食事の回数と量
食事の摂取方法を工夫し、食べ過ぎに注意することでつわりの症状を和らげることが期待できます。
具体的な対策として、以下のポイントを意識してみましょう。
- 少量・頻回食を心がける
1回あたりの食事量を減らし、食事回数を増やします。
例えば、1日3回の食事を5〜6回に分けて摂取してみましょう。
- 食事のタイミングに注意する
夜遅い時間の食事は避けましょう。
昼間のうちに食事回数を増やし、寝る時間の約3時間前までに食事を終えるのが理想的です。
体調と相談しながら、自分に合った食事スタイルを見つけていきましょう。
消化に良い食べ物を選ぶ
消化しやすい食材を中心に食べることで胃腸への負担を減らすことができます。
消化しやすいものとしては、おかゆやうどん、豆腐、脂身の少ないお肉などが挙げられますが、逆に油を多く使った食品、ごぼうやキノコ類など繊維が多い食品、たこやイカなどは消化に時間がかかるため、要注意です。また、香辛料など胃腸に負担がかかる刺激物は避けた方が良いでしょう。
消化しやすい食材を中心に摂取し、消化しづらい食材を食べるときには、量を減らしたり、よく噛んで食べたり工夫してみてください。
水分補給のタイミングと量
胃への負担を軽減するために、水分摂取と食事の時間をずらしてみるのもひとつの方法です。
また、脱水を避けるために水分制限はしないことも大切です。ただし、大量に冷たい水を一気に飲むと、胃に負担がかかり胃痛を引き起こす原因となるため、できるだけ常温や温めた飲み物を選ぶことを心がけましょう。
飲み物の種類
炭酸飲料やフレッシュジュースを飲むと、口の中や胃がすっきりすると感じる場合もあります。
ただし、炭酸飲料やカフェインは、場合によっては胃酸の分泌を促進し、負担がかかってしまうため、飲み過ぎには注意しましょう。
食後すぐ横にならない
食事直後は、食べたものを消化するために胃酸分泌が増加しています。この状態で横になると、重力の影響で胃酸が食道に逆流しやすくなり、胃の不快感や胸焼けの原因となる可能性があるので要注意です。
食後はすぐに横にならず、ソファやクッションを使用し、上半身を起こした姿勢でリラックスして過ごしましょう。
後期つわりの頭痛をやわらげるには?
後期つわりの症状として、頭痛を経験される方も少なくありません。ここでは、頭痛への対処法をいくつか紹介します。
妊娠中の頭痛
妊娠初期は、エストロゲンの変化によって、脳内の神経伝達物質のバランスも影響を受け、偏頭痛が起こりやすいと言われています。
一方、妊娠後期は、後頭部周辺で頭が締め付けられるような痛みが起きる「緊張型頭痛」が多い傾向です。緊張型頭痛は、一般的な頭痛の中でも頻度が高く、血行不良、精神的緊張やストレスが危険因子のひとつと言われていますが、正確な原因や病態や発生機序は明らかになっていません。
頭痛や胸焼けなど後期つわりに似た症状は、時に妊娠高血圧症候群など危険なサインの可能性もあります。激しい頭痛や血圧が高い場合など、普段と違う症状がある場合はかかりつけ医師に相談してください。
貧血による頭痛と鉄分の摂取
妊娠中は、赤ちゃんに酸素や栄養を送り込むために、母体の血液量が増加し、一時的に血液が薄まった状態になります。母体に蓄えられていた鉄分は優先的に赤ちゃんに運ばれていきます。そのため、血液中のヘモグロビン(酸素を運ぶ色素)が減少するため、脳への酸素供給が不足して頭痛を引き起こす可能性があるのです。
酸素の運搬に必須の栄養素は「鉄」です。胎児の成長や母体の血液量の増加などに伴い、需要が増加するため、妊娠前よりさらに多くの鉄摂取が欠かせません。
妊娠後期では、1日に14.5mgの鉄を摂取することが推奨されています。
主に動物性食品に多く含まれるヘム鉄は、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄の吸収率に比べ高いため、赤身の肉や魚など鉄を含む動物性食品を上手に取り入れるようにしましょう。また、非ヘム鉄は、たんぱく質やビタミンCと摂取することで吸収率が高まるため、緑黄色野菜や果物などと組み合わせるようにするとより効果的です。
なお、食事で十分な鉄分を摂取できない場合や血液検査の結果によっては、医師の指示に従って鉄剤を内服する場合もあります。
血行促進
緊張型頭痛は、自律神経の変調、筋肉の緊張によって生じる血行不良が関与して発症するとも考えられています。
血行を促すために湯船に浸かったり、適度な運動やマッサージなどを行ったりすると、筋肉がほぐれて痛みが和らぐこともあります。目元や首元を温かいタオルなどで温めるのも効果的です。血行不良の緩和に加えて精神的にもリラックスすることができ、症状の改善が期待できます。
薬は飲んでも大丈夫?
つわりで吐き気や頭痛といった症状が出た場合、自己判断で市販薬や以前の処方薬を内服することは避けましょう。
症状がつらい場合や日常生活に支障がある場合には、かかりつけの医師に相談することをおすすめします。
注意したい後期つわりの症状
ここまで後期つわりについて説明しましたが、妊娠16週以降につわり症状が現れる場合や妊娠後半まで症状が継続する場合は、後期つわりだと過信せず、他の病気の可能性を考慮することも重要です。気になる症状については、かかりつけの医師に相談しましょう。
おわりに
トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。
不妊治療にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ご予約はウェブからも受け付けております。
また、すでに不妊治療を受けている方々のお悩みやセカンドオピニオンにも対応しております。セカンドオピニオンを含めたクリニックへのよくあるご質問はこちらをご参考ください。