高プロラクチン血症とは?
高プロラクチン血症とは、母乳を分泌させるプロラクチンというホルモンが脳から過剰に分泌される疾患です。過剰なプロラクチンは性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌を抑制し、無月経や不妊を引き起こします。
高プロラクチン血症の症状
- 月経異常(生理不順・無月経)
- 乳汁分泌
月経異常
生理や排卵の周期は、女性ホルモンによって制御されています。しかし高プロラクチン血症を発症すると女性ホルモンの分泌が抑制されるため、生理不順や無月経になることがあります。また、排卵障害が起こると、不妊につながります。
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乳汁分泌
本来プロラクチンは、産後に母乳の分泌を促進するホルモンです。そのため高プロラクチン血症を発症した場合は、産後でないにも関わらず乳汁を異常に分泌することがあります。
高プロラクチン血症の原因
- ストレス(肉体的ストレス・精神的ストレス)
- 下垂体腺腫
- 視床下部の機能異常
- 薬剤によるもの
- 多嚢胞性卵巣症候群
- 甲状腺機能低下症
ストレス(肉体的ストレス・精神的ストレス)
プロラクチンは疲労(肉体的ストレス)のによって分泌量が増えることが知られています。また、精神的ストレスや生活習慣の乱れは、ホルモンバランスの乱れを引き起こします。そのため、ストレスを溜め込むことは高プロラクチン血症の発症につながります。
下垂体腺腫
20代女性では、脳の下垂体に良性の腫瘍(下垂体腺腫)が生じる場合があります。下垂体腺腫はプロラクチンを過剰に分泌するため、高プロラクチン血症を引き起こします。
視床下部の機能異常
脳の視床下部という部分のはたらきが強すぎると、プロラクチンの分泌が過剰になってしまいます。
薬剤によるもの
脳内ホルモンのドーパミンはプロラクチンの分泌を抑制する作用があります。このドーパミンのはたらきを抑える薬剤(特に向精神薬や消化管薬)を服用すると、副作用として高プロラクチン血症を引き起こす場合があります。
多嚢胞性卵巣症候群
卵巣が肥大化する多嚢胞性卵巣症候群は高プロラクチン血症と同じく、ホルモンバランスの崩れが原因で発症します。そのため、これら2つの疾患は併発する傾向にあります。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症では、脳からの甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン分泌が増加します。このホルモンはプロラクチンの分泌増加としても機能してしまうため、高プロラクチン血症の併発につながります。
上記が主な高プロラクチン血症の原因ですが、そのほかにも、腎臓や肝臓など、さまざまな臓器の状態が原因で高プロラクチン血症になることがあります。
高プロラクチン血症の診断方法
torch clinicの血液検査では、血中プロラクチン濃度が30ng/ml以上の場合に高プロラクチン血症であると診断されます。その後、高プロラクチン血症の原因(薬剤や下垂体腺腫など)を探ります。なおプロラクチン濃度は一日の中で変動するため、複数回測定する場合があります。
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高プロラクチン血症の治療方法
プロラクチンの分泌は、ドーパミンという脳内ホルモンによって制御されています。そのため、ドーパミンの作用を強める薬を内服することで血中プロラクチン値を低下させることができます。これによって、排卵障害などの症状も回復します。
不妊治療を効果的に行うためには、早めに原因を見つけて対処することが重要です。不妊の一因である高プロラクチン血症は、治療によって改善することができる疾患です。
よくある質問
高プロラクチン血症になりやすい人の特徴はありますか?
高プロラクチン血症の原因は様々ですが、特に、高プロラクチン血症を引き起こす類の薬を飲んでいる方は注意が必要です。
高プロラクチン血症を放置するとどうなりますか?
高プロラクチン血症を発症すると女性ホルモンの分泌が抑制されます。女性ホルモンは正常な骨代謝を司るため、高プロラクチン血症によって女性ホルモンが急激に低下した状態が長く続くと骨粗鬆症を引き起こすことが知られています。
高プロラクチン血症で太ることはありますか?
高プロラクチン血症のマウスでは食欲が増進しており、人でも高プロラクチン血症によって太りやすい傾向が示されています。しかし高プロラクチン血症が肥満に直結するわけではありません。また、高プロラクチン血症による肥満は疾患の治療で速やかに改善します。
高プロラクチン血症でも妊娠できますか?
高プロラクチン血症は、薬によって治療できる疾患です。そのため不妊の原因が高プロラクチン血症であった場合は、速やかな治療によって排卵機能が正常に戻るため、妊娠もできるようになります。
おわりに
トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。
不妊治療にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ご予約はウェブからも受け付けております。
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