妊娠は何歳までできる?確率と不妊治療について

最終更新日時:
2024-04-07
市山 卓彦
市山 卓彦 医師
院長 婦人科 生殖医療科 医師
2010年順天堂大学医学部卒。2012年同大学産婦人科学講座に入局、周産期救急を中心に研鑽を重ねる。2016年国内有数の不妊治療施設セントマザー産婦人科医院で、女性不妊症のみでなく男性不妊症も含めた臨床及び研究に従事。2019年には国際学会で日本人唯一の表彰を受け、優秀口頭発表賞および若手研究者賞を同時受賞。2021年には世界的な権威と共に招待公演に登壇するなど、着床不全の分野で注目されている。2019年4月より順天堂浦安病院不妊センターにて副センター長を務め、2022年5月トーチクリニックを開業。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

妊娠の年齢と妊娠率

女性の妊娠率は、20代前半をピークとしてゆるやかに低下していきます。32歳を過ぎると妊娠率の減少は加速し、37歳を過ぎるとさらに急激に低下してしまいます。(日本生殖医学会より: http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa22.html

こちらの記事もご参考ください。

加齢とともに妊娠率が下がる理由

女性ホルモンの減少

女性ホルモンの分泌量は20~30代前半にピークをむかえ、35歳ごろから閉経にむけて急激に減少していきます。女性ホルモンは妊娠の準備や維持に必要であるため、加齢でホルモン分泌量が減少すると、妊娠も成立しづらくなります。 

卵子の老化

卵子の元である卵母細胞は、生まれる前の胎生期に作られ、生まれたあとは増えることはなく減少していきます。そのため加齢に伴い、卵子は減少するとともに、再生しないため活性酸素などの影響で老化が進みます。老化した卵子は質が落ちるため、受精しずらくなったり、染色体数の異常が起こりやすくなります。そのため、年齢とともに妊娠率の低下や流産率の上昇につながります。

婦人疾患になる可能性が高くなる

年齢が上がると、子宮筋腫、子宮内膜症のような婦人科疾患を持つリスクが高まります。これらの疾患による卵巣機能の低下や、卵管の詰まり、着床率の低下が、不妊症の原因と関わることも考えられます。

不妊治療をした場合の妊娠率

30歳代後半になると卵子の質の低下や、染色体異常が生じやすくなり、不妊治療の成功率は低下します。日本産科婦人科学会の報告によれば、体外受精のような生殖補助医療による妊娠率は35歳時点で約4割であり、40歳では約3割、45歳では約1割へと低下します。また、流産率も37歳ごろから大幅に上昇するため、不妊治療を行っても妊娠が難しくなってしまします。

妊娠率を上げるためにできること

年齢が上がると、妊娠率を上げることは、現実的にはなかなか難しいので、若いうちから妊娠を意識し

て過ごすことをお勧めします。まずは、原因を早期発見するためにブライダルチェックを受けることもおすすめです。

また、ストレスなども卵巣機能を低下することが知られていますので、食生活や十分な睡眠のような規則正しい生活習慣を送ることが大切です。妊活についてはこちらもご参考ください。

よくある質問

高齢出産の定義は何歳ですか?

日本産婦人科学会では、35歳以上の初産を高齢出産と定義づけています。女性の社会進出や晩婚化に伴い高齢出産は増えてきており、2000年以降は初産の1割が高齢出産であるといわれています。ただし、不妊治療における高齢の定義は定められていません。

不妊治療は何歳までに始めたらいいですか?

卵子の数および質は年齢とともに低下していきます。そのため年齢が上がるに連れて原因不明不妊の割合も上昇していきます。年齢による不妊の影響を避けるためにも、医学的には、できるだけ早期に不妊検査や治療に取り掛かるべきでしょう。