妊娠初期症状はいつから?主な症状や原因について詳しくチェック

最終更新日時:
2024-09-17
市山 卓彦
市山 卓彦 医師
院長 婦人科 生殖医療科 医師
2010年順天堂大学医学部卒。2012年同大学産婦人科学講座に入局、周産期救急を中心に研鑽を重ねる。2016年国内有数の不妊治療施設セントマザー産婦人科医院で、女性不妊症のみでなく男性不妊症も含めた臨床及び研究に従事。2019年には国際学会で日本人唯一の表彰を受け、優秀口頭発表賞および若手研究者賞を同時受賞。2021年には世界的な権威と共に招待公演に登壇するなど、着床不全の分野で注目されている。2019年4月より順天堂浦安病院不妊センターにて副センター長を務め、2022年5月トーチクリニックを開業。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

妊娠初期症状は、妊娠後のごく初期に起きる体調の変化や兆候です。生理が遅れる、腹痛、頭痛、便秘など症状はさまざまで、どのような症状が出るかは個人によって差があります。

妊娠を意識している方は、ちょっとした体調の変化から「妊娠かも?」と敏感になることがあるのではないでしょうか。

一方、風邪や生理前などと似た症状の場合には、妊娠初期症状と気づかずに過ごす場合もあります。

この記事では、妊娠初期症状はいつごろから現れるのか、どのような症状なのかやそれぞれの原因を解説します。

妊娠初期症状のチェックリストや、風邪の症状との違いなども紹介しているので、妊娠検査薬での確認や病院の検査する前の確認に役立ててください。

妊娠初期症状とは

妊娠中は、初期・中期・後期に分けられます。胎児の成長やホルモンの変化とともに、妊娠中の母体の体調に変化がおきます。

妊娠初期症状は、妊娠が成立してから15週までの期間に起きる症状です。主な症状には生理の遅れ、腹部の違和感や頭痛、つわりなどがあります。

妊娠初期症状を知っておくことで、妊娠の可能性に気づき、妊娠検査薬の使用や病院の検査を受けるきっかけにしている方もいます。

妊娠中の期間区分と、主な症状

妊娠期間の週数は、妊娠前の最後の生理初日から数えていきます。

区分 期間 主な症状
妊娠初期 0~15週(1~4ヶ月) 生理の遅れ、腹痛、めまいや頭痛、吐き気など
妊娠中期 16~27週(5~7ヶ月) 貧血、腰痛、お腹の膨らみなど
妊娠後期 28~40週(8~10ヶ月) 体重増加、むくみ、腰痛など

妊娠初期症状は性行為後いつから?

妊娠初期症状は、性行為後に受精から着床のプロセスを経た後、約2週間ほどで現れるのが一般的です。

ただし、個人差があるため、もっと早く感じる人もいれば、遅れる場合もあります。症状を感じない場合もあるようです。

排卵、受精、着床の流れと、それぞれの期間の目安は以下の通りです。

  • 排卵:排卵は通常、月経周期の約14日前に起きます。卵子が受精できるのは、排卵後約24時間以内です。
  • 受精:排卵後24時間以内の卵子と精子が卵管で出会って受精が起こります。精子は女性の体内で約3〜5日間生きているので、排卵前の数日と排卵直後の性行為は受精の可能性が高いタイミングです。
  • 着床:受精卵は約5〜6日かけて卵管から子宮に移動し、子宮内膜に着床します。着床は受精後7〜10日後に起きることが一般的です。

妊娠超初期症状とは

妊娠超初期症状という言葉を、最近耳にする機会があるかと思います。妊娠判定前後に感じる体調の変化を、妊娠超初期症状ということが増えています。

妊娠超初期症状は妊娠4週以内の妊娠初期の症状を指しますが、医学的な根拠がなく、正式な医学用語ではありません。

妊娠の期間は妊娠前の最後の生理日から数えるので、妊娠超初期には0〜2週の、実際は妊娠する前の期間も含まれていることもあり、この時期の体調不良が妊娠によるものかどうか判断が難しい時期です。

症状はさまざまで個人差がありますが、げっぷ、吐き気、便秘、腹痛、めまい、眠気、頭痛、腰痛、胸の張り、おりものの変化などの症状を、妊娠直後に感じることがあります。

妊活中の方をはじめとして、妊娠の可能性がある方はこのような不調を感じた場合には、無理をせずに安静にして過ごしましょう。

妊娠初期症状のチェックシート

妊娠初期症状は、さまざまな症状があって、症状の感じ方には個人差があります。

妊娠初期に起きる症状のチェックシートで、ご自身の体調と照らしあわせてみて、妊娠検査薬の使用や、病院に検査に行く前の参考にしてください。

  • おりものの変化
  • 少量の出血がある
  • 腰痛
  • 下痢もしくは便秘になる
  • トイレが近くなる(頻尿)
  • 腹部の違和感(腹痛、下腹部痛、お腹の張り・おなら)
  • 頭痛
  • 眠気や体のだるさ
  • 微熱が続く
  • 胸の張り・痛み
  • 胃痛、胃のむかつき、吐き気、げっぷ、つわり
  • 体のむくみ
  • 肌荒れ、肌トラブル
  • 嗅覚の変化
  • めまいやふらつきがある
  • 生理が来ない

妊娠を維持するための体内のホルモンの変化が、これらの症状の主な原因です。

生理が来ない

生理予定日になっても、生理が始まらないのはも妊娠初期症状のひとつです。

受精卵が子宮内膜に着床すると、妊娠が成立して生理が止まります。

予定日より一週間過ぎても生理が来ない、生理が来ないだけでなく、他の妊娠初期症状も感じる場合には、妊娠検査薬の使用や病院の検査を受けるようにします。

おりものの変化

妊娠初期には、おりものに次のような変化がみられます。個人差があるので、変化がないケースもあります。

  • 量が増える
  • 粘り気がなくサラサラした状態になる
  • 色が白く濁る、黄色っぽくなる、クリーム色になる
  • においがする
  • 着床出血によって、ピンク色や茶色っぽい色になる、部分的にそのような色がまじる

このような変化が起きる原因は、妊娠を維持するためのホルモンバランスの変化や感染を予防するための体の反応です。

少量の出血がある

妊娠初期には、少量の出血を認めることがあります。これは、着床出血によるものです。

着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床する際に起きる少量の出血です。

受精卵が子宮内膜にしっかりと付着するために、内膜の一部が傷ついて出血することがあります。これを着床出血とよびます。

月経の開始時期と重なる時期に起こることが多いため、生理と間違えられることもあります。出血は軽度で、おりものにピンクや茶色がまじっていることもあり、数日以内に自然に止まります。

腰痛

腰痛は妊娠初期から妊娠期間を通じて、多くの女性が経験する症状です。次のような複数の原因があります。

  • ホルモンの変化: 妊娠中、リラキシンというホルモンが分泌され、骨盤周辺の靭帯や関節が柔らかくなります。靭帯や関節が柔らかくなるのは、赤ちゃんの頭が産道を通りやすくするための変化です。これにより、腰に負担がかかりやすくなり、痛みを感じることがあります。
  • 体重の変化: 妊娠が進むにつれて体重が増加し、腰や背中に負担がかかります。初期段階でも体の重心が変わることで、腰痛が引き起こされます。
  • 姿勢の変化: 子宮が大きくなると体のバランスが変わり、無意識に姿勢が悪くなることがあります。これが腰痛の原因になっています。

また、つわりで思うように動けなかったり、仕事で長時間デスクワークや立ち仕事をしていたりすると、腰痛を悪化させる可能性があります。

下痢もしくは便秘になる

妊娠するとホルモンバランスの変化で、腸の動きが過敏になり下痢になったり、逆に鈍くなって便秘になったりします。

また、妊娠して、食事の量や好みが変化して、胃腸の調子に影響している場合もあります。

食物繊維や水分を意識して摂取することなどをおすすめします。

下痢や便秘が続くと体に負担がかかるので、症状が続く場合には医師に相談するようにします。

トイレが近くなる(頻尿)

妊娠初期の頻尿は、ホルモンバランスや血液量の変化が原因で起こることが多く、通常は心配する必要はありません。

受精卵が子宮に着床すると、プロゲステロンというホルモンが増加し、膀胱の筋肉を緩めるため、尿意を感じやすくなります。

 妊娠に伴い子宮への血流が増え、膀胱が圧迫されたり刺激されたりすることで、頻尿が生じます。

腹部の違和感(腹痛、下腹部痛、お腹の張り・おなら)

腹痛、下腹部痛、お腹の張り・おならなどの腹部の違和感は、着床や子宮の成長が原因で起きる場合と、ホルモンによる消化機能の低下が原因の場合とがあります。

  • 着床や子宮の成長と変化:受精卵が子宮内膜に着床する際に下腹部に痛みを感じることがあります。妊娠すると子宮は収縮を繰り返しながら成長するので、ギュッとお腹が絞り込まれるような痛みがあることもあります。
  • ホルモンによる消化機能の低下:妊娠初期には、ホルモンバランスの変化によって消化機能が低下して、便秘や消化不良が起こりやすくなります。腸が弛緩してガスが溜まりやすくなり、お腹の張りやおならの原因となることもあります。

これらの腹部の違和感は、通常軽度で一時的なものですが、強い痛みや違和感が続く場合には、早めに医師に相談してください。

頭痛

頭痛は妊娠初期の主な症状の一つで、ホルモンの変化や血液量の増加などが主な原因です。

また、妊娠中の疲労や脱水や低血糖など、ほかの体調不良から頭痛になることもあります。

軽い頭痛は、休息や十分な水分補給で緩和されることが多いのですが、強い痛みや長く続く場合は、医師に相談することが大切です。

眠気や体のだるさ

妊娠初期に感じる眠気や体のだるさは、ホルモンバランスの変化やエネルギー消費の増加などが主な原因です。

妊娠初期には、プロゲステロンというホルモンが急激に増加します。プロゲステロンには鎮静効果があり、体が自然に眠気を感じやすくなります。

また、胎児の成長を支えるために、体が多くのエネルギーを消費します。このエネルギー消費が増えることで、体が疲れやすくなり、だるさを感じることが増えます。

このような体の変化によって睡眠の質が低下することもあるので、無理をせずに休息をしっかり取るよう心がけましょう。

微熱が続く

妊娠初期には、ホルモンの影響で体温が上がって微熱が続くことがあります。

妊娠後にプロゲステロンというホルモンが増加するのですが、このホルモンには体温を上げる作用があります。体温が通常より0.3〜0.5度程度上がって37度前後の微熱になります。

基礎体温の高さにも個人差があるので、微熱が続く、高い平熱が続くなど、症状はさまざまです。

胸の張り・痛み

妊娠初期には、乳腺の発達を促し母乳が出る準備が始まって胸が張ったり敏感になったりします。

乳腺組織が成長して、胸の圧迫感や痛みを感じることがあります。また、軽い刺激でも痛みを感じたりもします。

胸の張りや痛みは、妊娠初期(6週目〜8週目頃)に強く感じられ、通常、妊娠が進むにつれて徐々に軽減していきます。

胸の張りや痛みを感じたら下着のサイズを見直したり、胸のサポートがしっかりしたものを選ぶことで、張りや痛みを和らげることができます。

胃痛、胃のむかつき、吐き気、げっぷ、つわり

妊娠初期のホルモンの変化で、胃腸の消化機能が低下して胃痛や胃のむかつきといった症状が起きることがあります。

胃腸の不調から吐き気がしたり、ガスが溜まってげっぷが出ることもあります。

また、妊娠初期症状としてよく知られる、つわり(悪阻)は、妊娠6週頃から、吐き気や嘔吐(おうと)、食欲不振などの症状が出始めて12〜16週頃にピークを迎えます。

期間や症状には個人差があります。

つわりの主な原因は、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの増加で、これが味覚や嗅覚、消化機能などに影響しています。

つわりの症状が重く、栄養失調や脱水症状になるほど深刻な場合は、医師の診断を受けるようにします。

体のむくみ

妊娠初期には、足や足首、顔、手など、体のむくみを感じることがあります。

ホルモンの変化や体内の血液量が増加して、体内で水分を保持しやすくなることが主な原因です。

軽度のむくみは問題ありませんが、むくみが急激に増加したり頭痛などを伴う場合には妊娠高血圧症候群などの兆候かもしれないので、医師に相談するようにします。

肌荒れ、肌トラブル

妊娠初期には、皮脂の分泌が活発になって吹き出物ができたり、逆に乾燥がひどくなったりといった肌荒れや肌トラブルが生じることがあります。

やはり、これも妊娠初期のホルモンバランスの影響が主な原因です。

これまで問題なく使っていたスキンケア製品が肌に合わなくなるという方も少なくないようです。

また、妊娠中にシミが増えたというような声もよく聞かれます。

肌トラブルがひどい場合には、皮膚科や婦人科の医師に相談してみましょう。

嗅覚の変化

妊娠すると嗅覚が敏感になって、食べものだけでなく、香水や柔軟剤、芳香剤などの匂いが気になって不快になることがあります。

匂いに反応して、吐き気をもよおすこともあります。

これまで気にならなかった匂いが気になったり、匂いの好みが変わったりするようです。

嗅覚の変化は、妊娠中期になると落ち着いてくる傾向にあります。

めまいやふらつきがある

立ち上がったときや、体を動かして作業をしている場合に、めまいやふらつきを感じることがあります。

妊娠中は血液中の赤血球やヘモグロビンの需要が増加しますが、特に妊娠初期には体内での鉄分や栄養素の供給が不足しがちです。

そのため鉄分不足で貧血になって、めまいやふらつきを感じたりします。

また、ホルモンの影響で血管の収縮が起きて血圧が低下することや、つわりの影響で食事がとれないなども、めまいやふらつきの原因となります。

妊娠初期症状と風邪の違い

頭痛や微熱、倦怠感など、妊娠初期症状は風邪に似ているので、妊娠の可能性のある方はその違いを知っておくことが必要です。

妊娠初期症状と風邪の見分け方ですが、妊娠の場合は生理の遅れ、つわりや胸の張り、頻尿、疲労感、嗅覚の変化などの症状があります。

一方、風邪の場合は喉の痛みや咳、鼻水、発熱が主な症状です。

ただ、妊娠初期に、喉の痛みや違和感を感じる方もいます。妊娠時の血流の増加による喉のうっ血が原因です。

また、妊娠初期に風邪をひいているという可能性もあって、本人が見分けるのはなかなか難しいのも事実です。

見分け方のポイントとしては、風邪の症状では見られない、妊娠初期症状、例えば生理の遅れや少量の出血、胸の張りなどの症状があるかどうかをチェックしましょう。

また、風邪でも微熱が見られることがありますが、妊娠の場合は持続的な微熱が続きます。

基礎体温をつけておくと高温期が続く妊娠初期症状に気づくのに役立ちます。

妊娠初期症状と生理前症状の違い

妊娠初期症状と生理前症状は、どちらもホルモンバランスの変化が主な原因のために症状に類似点が多くみられます。

胸の張りや痛み、腹部の違和感、体のだるさなど、両方で感じられる症状です。

妊娠初期症状であるかどうかを見分けるには、嗅覚の変化などつわりなどの症状があるかどうかがひとつの手がかりになりますが、つわりが始まるのは妊娠6週目ぐらいからになります。

もっと早期に確認したい場合には、基礎体温を普段からつけておいて、その変化で妊娠の可能性をチェックします。

生理前の高温期の期間は約2週間なので、高温期が3週間以上続く場合には妊娠の可能性があります。

また、生理のときとは異なる少量の出血やおりものに色がついている場合は着床出血なので、妊娠初期症状と考えられます。

妊娠初期症状はないこともある

この記事では妊娠初期症状とその原因について紹介してきました。

どのような症状が出るか個人差があるように、初期症状の感じ方にも個人差があります。

また、妊娠初期の症状がないこともあることを知っておいてください。

そういった場合には、基礎体温の変化と生理が止まることが、妊娠の可能性を知る手がかりになります。

妊娠初期症状を感じたら

妊娠検査は、hCGというホルモンの尿中濃度で判定します。

これは病院の検査でも市販の検査薬でも同様です。

hCGが検出可能になるのは生理予定日の約1週間後です。

生理の遅れやその他の妊娠初期症状を感じたら、その時期に受診しましょう。

市販の検査薬で陽性反応が出た場合でも、子宮外妊娠の可能性などもあるので、必ず専門医に相談して検査を受けてください。

よくある質問

妊娠の可能性がある場合に注意したほうがいいことはありますか?

妊娠の可能性がある場合には、アルコール、カフェインの摂取を控えて、薬の服用も医師に相談するようにします。喫煙も止めましょう。

健康診断や歯科でのレントゲン検査も、この場合には受けないようにします。

休息や睡眠をしっかりとって、規則正しい生活リズムを心がけることをおすすめします。

思い込み妊娠(想像妊娠)とはなんですか?

思い込み妊娠(想像妊娠)は、「妊娠したい」と強く願うときに起こりやすい事象です。

脳がホルモンバランスや自律神経をコントロールしているため、「妊娠かも」と思い込んだり、強いストレスを感じたりすることで排卵や生理が遅れたりします。また、吐き気や不快感など、つわりに似た症状が出たりもします。

また、妊娠を望んでいない場合に、妊娠への不安や恐怖から同じような症状が現れることもあります。

おわりに

トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。

恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週6日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。

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