不育症検査の内容は?費用や保険適用について

最終更新日時:
2024-04-16
市山 卓彦
市山 卓彦 医師
院長 婦人科 生殖医療科 医師
2010年順天堂大学医学部卒。2012年同大学産婦人科学講座に入局、周産期救急を中心に研鑽を重ねる。2016年国内有数の不妊治療施設セントマザー産婦人科医院で、女性不妊症のみでなく男性不妊症も含めた臨床及び研究に従事。2019年には国際学会で日本人唯一の表彰を受け、優秀口頭発表賞および若手研究者賞を同時受賞。2021年には世界的な権威と共に招待公演に登壇するなど、着床不全の分野で注目されている。2019年4月より順天堂浦安病院不妊センターにて副センター長を務め、2022年5月トーチクリニックを開業。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

不育症検査の内容

不育症の検査として代表的なものは、子宮形態検査、内分泌検査、染色体検査、抗リン脂質抗体検査です。以下にそれぞれについて解説します。

子宮形態検査

子宮の形の異常が不育症の原因となることがあります。代表的なものは中隔子宮という生まれつきの形態異常です。子宮の形を調べるために、子宮卵管造影検査や経腟超音波検査を行います。

内分泌検査

甲状腺機能異常や糖尿病は、流産や死産のリスクを高めます。そのため血液検査により甲状腺ホルモン量や血糖値を測定し、疾患の有無を調べます。

夫婦染色体検査

赤ちゃんに染色体の異常がある場合は流産になることが多いです。赤ちゃんの染色体の異常は、お父さん、お母さんの染色体の異常が原因となる場合があります。染色体の検査は血液検査によって調べることができますが、染色体の異常は遺伝することがあり、治療することはできないため、検査を行う前に十分な遺伝カウンセリングを行う必要があります。

抗リン脂質抗体検査

抗リン脂質抗体が血液中に多いと、血液が固まりやすくなります。そのため、母親が抗リン脂質抗体を持っている場合、胎盤の血管の中に血液の塊(血栓)ができることで赤ちゃんへ栄養や酸素が入っている血液が十分に届かなくなってしまい、流産してしまうことがあります。

不育症検査を受けるタイミング

一般的には、流産や死産を2回繰り返すと不育症と診断され、検査がすすめられます。一方で、血栓症や抗リン脂質抗体症候群のような不育症リスクとなりうる持病を持っている、また不妊治療時に不育症リスクを知りたい場合も、不育症検査を受けることができます。

不育症検査の費用や助成金について

トーチクリニックでは、27,000円で不育症スクリーニングを実施しています。また、東京都では、検査開始時点での妻の年齢が43歳未満であり、不育症と診断された夫婦に対して、5万円を上限として検査の費用を助成しています。詳細は都のホームページをご覧ください。

なお、東京都外でも自治体によっては検査費用が助成される場合がありますので、ご在住の自治体ホームページをご覧ください。

よくある質問

不育症検査の結果はどれくらいで出ますか?

検査内容によります。分析の必要がある内分泌検査や抗リン脂質抗体検査は結果が出るまで約1週間、また夫婦染色体検査では約3週間かかります。

不育症でも妊娠できますか?

妊娠が成立しない不妊症と異なり、不育症は妊娠できるものの、その後に流産や死産が起こってしまう状態です。不育症のリスク因子を検査によって特定することで、それぞれのリスク因子に合った治療を受け、流産や死産を予防することができます。例えば抗リン脂質抗体症候群が原因の場合は、低容量アスピリン・ヘパリンの内服や自己注射を実施します。