体外受精では、採卵術で取り出した卵子を体外で受精させます。この採卵時の痛みについて不安を感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では採卵にともなう痛みや、痛みを和らげる方法について解説します。
採卵時の痛みについて
採卵術では、医師が経腟超音波(エコー)で位置を確認しながら、腟から採卵用の細い針を挿入し、腟壁から腹腔内へ針を進めて卵巣を穿刺し、卵胞液を吸引して卵子を回収します。痛みの感じ方は人それぞれですが、特に発育した卵胞の数が多い場合は針を刺す回数が多くなり、痛みが強くなります。
また、子宮内膜症や過去の手術、炎症の影響で卵巣に癒着がある方や、卵巣が腟壁から離れた位置にある方では、エコープローべを腟壁に押し付ける痛みが強いことがあります。
採卵の痛みを和らげる方法はある?
卵巣の状態やご希望に合わせて、麻酔や痛み止めを用います。
麻酔の使用
麻酔には局所麻酔と静脈麻酔があります。
局所麻酔では、針が腟壁に刺さる痛みを緩和するために腟壁に局所麻酔薬を注射します。この麻酔方法では意識ははっきりしており、針による痛みは緩和されますがエコープローべで腟壁を圧迫するときに痛みを感じることがあります。
静脈麻酔は静脈に鎮静薬を注入する方法です。眠った状態で採卵が行われ、採卵時の記憶は残らないことがほとんどです。
痛み止め座薬の使用
腟壁はもともと痛みを感じにくく、穿刺する卵胞が3〜4個までであれば鎮痛剤のみで十分なケースがほとんどです。点滴を行う必要もなく、術後は比較的スムーズにご帰宅可能です。
採卵にともなう治療の痛み
採卵を行うまでには、血液検査や超音波検査、排卵誘発などを行います。これらの治療にともなう痛みについて説明します。
ホルモン採血
血液検査を行うことでホルモンの基礎値や卵胞の成熟度合などを調べます。採血にともなう痛みは、基本的に針を刺す際にチクッと痛む程度です。
採血時や採血終了後に強い痛みやしびれがあった場合は、すぐにお知らせください。
排卵誘発剤などの注射
排卵誘発剤の注射には筋肉注射と皮下注射があります。特に筋肉注射は痛みを感じる人が多い注射です。
皮下注射は自己注射(ご自身で注射)を行うこともあります。薬剤をゆっくり注入する、脂肪の厚い部分に注射する、注射の箇所を毎回変えるといった工夫で痛みを軽減できることもあります。
経腟超音波検査
経腟超音波検査では腟の中にエコープローべを挿入します。違和感を感じることはあるかもしれませんが、一般的に痛みの少ない検査であるため、リラックスして受けましょう。
子宮内膜症や、過去の手術、炎症の影響で卵巣に癒着がある方、卵巣が腟壁から離れた位置にある方では、痛みを強く感じることもあります。
腟洗浄
採卵前には生理食塩水や消毒液で外陰部と腟内を拭います。腟分泌物を除去するために腟を広げながら奥まで拭き取るため、痛みや違和感を感じることがあります。
局所麻酔では腟洗浄後に麻酔を行いますが、静脈麻酔は麻酔を開始しておやすみになられた後に洗浄を行います。
採卵後の過ごし方
採卵後は病院にてしばらく安静にした後、術後の検査や体調に問題がなければそのままご帰宅いただけます。
静脈麻酔を受けた方は、麻酔が覚めて意識がしっかりするまで院内で過していただきます。
採卵当日は車の運転、激しい運動や性交渉は避け、湯船には浸からずシャワー浴で済ませるようにしましょう。
採卵の痛みはいつまで続く?
採卵後もしばらく痛みが続くことがあります。徐々に痛みは引きますが、痛みがある間は鎮痛剤を服用しても構いません。
痛みがずっと続く、もしくは強くなる場合は、卵巣内や腹腔内の出血、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、骨盤内感染症が起こっている可能性があります。この場合はすぐに医療機関を受診してください。
おわりに
トーチクリニックでは医師による治療の診断やカウンセリングに加え、心理カウンセラーが心理的なご負担・人に話しづらい悩みなど医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考えさせていただく機会も設けております。
働きながらでも通いやすいよう、恵比寿駅徒歩1分・週7開院(平日・土日祝)としています。
体外受精を含む不妊治療にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。予約はウェブからも受け付けております。
また、すでにお取り組みいただいている不妊治療中のお悩みについても、セカンドオピニオンの対応なども行っております。セカンドオピニオンを含めたクリニックへのよくあるご質問はこちらをご参考ください。