妊娠初期は基礎体温が高くなります。女性ホルモンのひとつであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増加するためであり、妊娠で起こる正常な反応です。
体温が高くなるといっても軽度であり、38℃以上の発熱など高熱がある場合は注意しなければなりません。内科的な病気やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの可能性もあります。
38℃以上の熱や風邪に似た症状があるとき、いつもと明らかに違う症状があるときは、医療機関に相談のうえ受診しましょう。
妊娠初期はホルモンが原因で高温期が続く
排卵日は、低温期から高温期に移行したタイミングのどこかです(ただし、いつ排卵したかを基礎体温だけで確定することはできません)。妊娠しやすいのは、排卵日前後の数日です。
卵巣内の黄体から分泌されるプロゲステロンは、排卵後、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚くしたり、体温を上げる働きがあります。妊娠すると、プロゲステロンの分泌量が増加し、高温期が継続します。
高温期が2週間以上続いていれば、妊娠の可能性が高いです。早めに産婦人科を受診するようにしましょう。
基礎体温とは?
基礎体温とは、生命を維持するために必要な、最小限のエネルギーが使われるときの体温で、寝ている間の体温です。正しい測定方法は、朝目覚めたときに、寝たままの状態で舌の下に婦人体温計を入れて、5分間測定します。
測定を数か月続けると、低体温と高体温を繰り返したり、一定だったりするパターンがわかります。正常なパターンでは、月経がはじまると体温は下がり、排卵後から次の月経までは体温が高めになります。低温期から高温期の移行があれば排卵が起こったと予測でき、排卵日の予測に役立ちます(高温期となっていても排卵していないこともあるため、正確な診断には超音波検査が必要です)。
詳しくは「妊娠した時の基礎体温に関する記事」を参照ください。
体温の上昇は0.3〜0.5度で37度前後になるケースも
高温期の体温は、一般的に低温期より0.3〜0.5℃上昇するとされています。もともと平熱が高い方は、37℃前後になるケースもあります。
一方平熱が低い方は、高温期でも36℃代後半にとどまります。平熱は個人差もあるため、自分にとっての平熱を知ることが大切です。ある研究では、年齢や気候の影響も受けることが報告されています。
12~16週くらいまで続くのが一般的
妊娠すると、高温期はおおよそ12〜16週まで続きます。ただし、内科的な病気で熱が上昇するときもあります。早めに産婦人科を受診し、妊娠と他の病気を判別してもらうようにしてください。
胎盤が完成するとホルモンは安定し、基礎体温は下がります。
基礎体温の上昇による熱は胎児への影響は心配なし
高温期が続くと、お腹の赤ちゃんに影響があるのではと不安に感じる方もいるかもしれません。
妊娠初期の基礎体温の上昇は、プロゲステロンの働きによるものです。お腹の赤ちゃんに影響を与えることはないので、心配しなくて大丈夫です。
38℃以上の発熱があるときや、熱以外の症状(風邪症状など)があるときは、医師に相談してください。
妊娠初期の熱の対処法は
妊娠初期は基礎体温が上昇しますが、妊娠による正常な反応です。体調不良などなければ、薬剤で対処せずに様子をみるようにしてください。
とはいえ、熱っぽさやほてりで不快に感じるときもあるかもしれません。着脱しやすい衣類を着用したり、エアコンを使用したりしてできる対処をしましょう。保冷剤や、冷却シートを使用するのも方法の一つです。
薬は自己判断で使わない方が安全
妊娠中は、自己判断で薬を使用しないでください。薬に含まれる成分や、服用する時期によっては、赤ちゃんに影響を及ぼす可能性もあるためです。必ず医師に相談するようにしましょう。
症状がつらいときや他の症状が気になるときは、受診をおすすめします。もし、自己判断で薬を服用してしまったときは、早めに医師に連絡しましょう。
妊娠初期の熱に関する注意点
妊娠初期の熱の原因が、プロゲステロンの作用以外の場合もあります。
38℃以上の熱が出たときや、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザと似た症状があるとき、熱が長期的に続くといったときです。発熱以外の症状や注意点をみていきましょう。
38度以上の熱や感染症の症状がある場合
38℃以上の熱や、感染症の症状がみられるときは注意しましょう。
いくら体温が高めであっても、正常な状態で基礎体温が38℃以上になることはありません。内科的な病気や感染症の可能性があるため、早めの受診が推奨されます。症状がつらいときは我慢しないようにしましょう。
妊娠中は免疫力が下がり、感染症にかかりやすくなっています。食事や睡眠などの生活習慣を整え、感染予防に努めましょう。熱や風邪症状があり受診する際は、事前に医療機関へ連絡するようにしてください。
注意が必要な感染症|インフルエンザや新型コロナなど
妊娠中にインフルエンザや新型コロナウイルス感染症にかかると、重症化しやすいといわれています。風邪だと思っていたら、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症だったというケースもあり、注意が必要です。
インフルエンザは、発熱などの症状が急速にあらわれるのが特徴です。2つの熱の特徴・熱以外の症状をみていきましょう。
上記の症状があるときは、早めに医師に相談してください。
長期で続く場合
妊娠初期の熱は通常12〜16週くらいに下がります。熱っぽさやだるさ、つわりも治まり、体も楽になるでしょう。
16週以降も熱が長期で続く場合は、感染症や他の疾患にかかっている可能性もあります。お腹の赤ちゃんへの悪影響も考えられるため、注意が必要です。熱以外の症状もチェックしましょう。
以下は、妊娠中期以降も注意が必要な感染症の例です。
熱の他にいつもと違う症状がある場合は、医師に相談するようにしましょう。
妊娠初期の熱以外の症状
妊娠初期は、熱以外の症状もみられます。吐き気や食欲不振、胃もたれなどの「つわり」、頭痛や倦怠感などです。症状を詳しくみていきましょう。
吐き気や食欲低下、胃痛、胃もたれなどつわりの症状
つわりとは、妊娠初期に起こる食欲不振・吐き気・嘔吐・胃部不快感・胃痛などの症状です。70~80%の妊婦さんに起こると言われており、12週ごろから自然によくなります。
ただし、重症化すると「妊娠悪阻」に移行する恐れもあるので注意が必要です。激しい嘔吐や、まったく飲食ができないなどの状況が続くと、頭痛や意識障害、肝機能障害を引き起こす恐れがあります。食欲がなくても、食べられるタイミングで、口に合う食べ物や飲み物をとるのが大事です。
頭痛やこめかみの痛み
妊娠初期は、頭痛を生じる場合もあります。原因の一つは、ホルモンバランスの変化です。頭痛のタイプは複数あり、妊娠初期には片頭痛、妊娠後期には緊張型頭痛が起こりやすいとされています。2つの特徴は以下のとおりです。
だるいなどの倦怠感
「体がだるくて動く気がしない」「疲れやすくなった」といった症状もあらわれます。妊娠初期の体重増加や、プロゲステロンの影響と考えられます。体の負担も増加し、疲れや全身の倦怠感につながるのです。
おわりに
トーチクリニックでは、ブライダルチェックを提供しています。恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。
医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
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