子宮卵管造影検査は、卵管の通過性を調べる検査です。卵管は精子と卵子が出会う通路であり、妊娠において重要な器官です。しかし、卵管閉塞や卵管周囲の癒着があると、不妊の原因になる場合があります。
検査には多少痛みを伴いますが、痛みに配慮して検査をおこなうクリニックもあります。不安があるときは、医師によく相談して検査を受けるようにしましょう。
子宮卵管造影検査(HSG)とは
子宮卵管造影検査とは、X線の透視をしながら子宮内へ造影剤を注入し、子宮の異常や卵管の通過状態などを調べる検査です。
女性の不妊症検査として一般的な検査で、閉塞している卵管を開通する効果はありませんが、原因不明不妊の一部では、検査後は妊娠しやすくなる効果があるといわれています。
卵管の機能と役割
卵管は、子宮と卵巣をつなぐ、子宮の両側にある長さ10cm程度の細い管です。妊娠の成立に大きな役割を果たします。卵管の構造と役割をみていきましょう。
卵管とは
卵管の子宮への出口が卵管口、子宮側から「卵管口」「間質部」「峡部」「膨大部」「卵管采」と分けられます。間質部は約1mmと非常に狭く、膨大部では1cm程度に広がります。卵管采は卵巣から出た卵子を取り込み、手を広げたような形をしているのが特徴です。
卵管の役割
卵管には以下の5つの働きがあります。すべてがうまく機能しないと、妊娠の成立には至りません。
- 卵子を取り込む:卵巣から排出される卵子を卵管采で取り込む。
- 精子を運ぶ:卵管間質部と卵管峡部を通過し、卵管膨大部へ運ぶ。
- 受精を助ける:卵管采から取り込まれた卵子は、膨大部で精子の到着を待つ。精子が膨大部に到着し、卵子の中に入ると受精が成立する。
- 受精卵の発育をサポートする:卵管の表面から受精卵を育てる物質を分泌し、成長を助ける。
- 受精卵を子宮に運ぶ:受精卵を卵管膨大部から子宮へ運ぶ。
子宮卵管造影検査でわかること
子宮卵管造影検査では、子宮の状態や卵管の通過性、子宮などへの癒着の有無がわかります。異常の有無で治療方針が変わってくるため、妊娠を希望する方は、早期に検査を受けることが推奨されています。
子宮卵管造影検査でわかることを詳しくみていきましょう。
卵管閉塞・狭窄
子宮卵管造影検査では、卵管の閉塞や狭窄がわかります。
卵管が閉塞すると受精できなくなります。また狭窄があると、受精はできても受精卵が子宮までたどり着けません。着床できなかったり、卵管妊娠となる可能性があります。
卵管の閉塞・狭窄の原因は性感染症や、子宮内膜症などが挙げられます。
卵管周囲癒着
卵管周囲が癒着している状態を確認できます。
通常卵巣から排卵された卵子は、卵管先端にある卵管采が動き、取り込まれます。卵管が癒着していると、卵管采が動けず、卵子を取り込めなくなるのです。
原因は、子宮内膜症や子宮筋腫、腹膜炎などによる骨盤内の炎症、過去に受けた開腹手術などがあります。また、近年増加しているクラミジア感染症により、卵管の癒着が起こることも多く、過去に感染したことがある方は卵管造影検査をおすすめします。
参考:クラミジアの症状は?感染経路や検査・治療方法について解説
子宮内腔癒着
子宮内腔癒着は、子宮内膜が炎症を起こし内膜の組織がくっついた状態をいい「アッシャーマン症候群」ともいわれます。帝王切開や人工妊娠中絶、手術の感染などが原因となり起こります。
子宮内腔で癒着が起こると、子宮内膜が十分に成長せず、着床不全や流産を引き起こすと考えられています。
子宮奇形
子宮奇形は生まれつきの異常です。婦人科検診や妊娠初診で、内診や超音波検査で発見されることが多いです。
子宮卵管造影検査を受けることで、子宮のどの部分に異常があるかがわかります。
子宮卵管造影検査を実施できない人
子宮卵管造影検査は不妊症の検査の一つですが、以下に該当する方は検査を実施できない場合もあります、事前に医師に相談しましょう。
- ヨードアレルギー、あるいはその疑いのある方
- 重篤な甲状腺疾患の方
- 妊娠している可能性がある方
- 1年以内に子宮頸部のクラミジア抗原検査を受けていない方
また、一時的に内服を中止する必要のある薬もあるため、病気治療中の方は服用中の薬を医師に伝えてください。
子宮卵管造影検査のやり方
子宮卵管造影は、月経が終了してから排卵前までの間におこないます。
検査当日は、金属のアクセサリーやファスナー、ボタンなどがない服装で行きましょう。スカートを着用しておくとスムーズに検査を受けられます。
検査は以下の流れでおこないます。
- 超音波検査をおこなう
- 消毒し、チューブを挿入する
- 子宮内にゆっくり造影剤を入れる
- X線で造影剤が広がる様子を観察する
- 造影剤が卵管内に貯留していないか確認する
当日体調不良や発熱があるときは、検査ができない可能性もあるので、必ず連絡して医師に確認しましょう。
子宮卵管造影検査の痛みは?
子宮卵管造影検査では、以下のタイミングで痛みを伴いやすいといわれています。
- チューブを子宮内に挿入するとき
- 造影剤を注入するとき
痛みは月経程度のことが多く、多くの方が耐えられる程度です。ただし、個人差もあるため、痛みに不安がある方は事前に医師に相談しましょう。
詳しくは、卵管造影検査は痛みがある?痛みの理由と痛みを和らげる方法をご覧ください。
子宮卵管造影検査後に気をつけたいこと
検査後は過ごし方に注意が必要です。
検査当日は、入浴を控えシャワー浴にします。性交渉も控えてください。翌日からは通常の生活が可能です。
また、検査終了後は数日間出血が続くこともあります。少量であれば様子をみましょう。出血量が増えたり、38℃以上の発熱や腹痛がみられたりする場合は、クリニックに連絡してください。
子宮卵管造影検査に関するよくある質問
子宮卵管造影検査に関するよくある質問をまとめました。
Q:子宮卵管造影検査の費用はいくらですか?
子宮卵管造影の検査料金は、クリニックによって異なります。当クリニックでは以下の料金となります。
Q:子宮卵管造影検査はいつ受けたらいいですか?
検査は、月経終了後から排卵前までの間に受けるようにしましょう。
Q:子宮卵管造影検査後に妊娠率は改善しますか?
子宮卵管造影検査をおこなった後は、妊娠率が上昇するとの報告もありますが、あくまで検査であるため、閉塞している卵管を開通させる効果はありません。
2017年のニューイングランド医学ジャーナルでは、不妊女性に油性造影剤または水溶性造影剤を使用して検査をした結果、「油性造影剤を用いて検査した女性の妊娠継続率、および出産率が水性の造影剤より高かった」と報告されています。
Q:子宮卵管造影検査の時間はどれくらいですか?
検査の所要時間は、15〜30分程度です。痛みがなければすぐ帰宅できますが、痛みが強い場合などはクリニック内で様子をみる場合もあります。時間に余裕をもって受けましょう。
おわりに
トーチクリニックでは、将来妊娠を考えている方向けのブライダルチェックなども提供しています。ブライダルチェックは、将来の妊娠に備えることを目的に、結婚や妊娠を控えたカップルを対象にした健康状態の確認のための検査です。
トーチクリニックは恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。
医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
ブライダルチェックにご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ブライダルチェックのご予約はウェブからも受け付けております。
また、ブライダルチェックについての解説記事もご参考ください。