ブライダルチェックは必要ない?不妊検査や婦人科検診との違いや検査項目について

最終更新日時:
2024-08-09
市山 卓彦
市山 卓彦 医師
院長 婦人科 生殖医療科 医師
2010年順天堂大学医学部卒。2012年同大学産婦人科学講座に入局、周産期救急を中心に研鑽を重ねる。2016年国内有数の不妊治療施設セントマザー産婦人科医院で、女性不妊症のみでなく男性不妊症も含めた臨床及び研究に従事。2019年には国際学会で日本人唯一の表彰を受け、優秀口頭発表賞および若手研究者賞を同時受賞。2021年には世界的な権威と共に招待公演に登壇するなど、着床不全の分野で注目されている。2019年4月より順天堂浦安病院不妊センターにて副センター長を務め、2022年5月トーチクリニックを開業。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

ブライダルチェックとは、妊娠のしやすさを調べるための検査です。ところが不妊検査や婦人科検診と重複する検査もあるため、わざわざ受ける必要がないのではと考える方もいるようです。しかしブライダルチェックは、不妊検査や婦人科検診とは検査目的や検査対象の方が異なります。本記事ではこれらの項目について解説していきます。

ブライダルチェックとは

ブライダルチェックの目的

ブライダルチェックとは、将来の妊娠に備えることを目的として、出産や妊娠に関わる病気の有無や健康状態を確認するための検査です。結婚を控えるカップルや、妊活を始めたカップルが主な対象となります。ただし、自分の身体が妊娠しやすいかどうかを確認する目的として、どなたでも検査を受けることができます。

ブライダルチェックの検査項目

ブライダルチェックでは、妊活に関わる病気の有無や健康状態を把握するための網羅的な検査を行います。おおまかには「婦人科検診」「性感染症検査」「男性の精液検査」に分けられ、当院の妊活セットではほぼ全てを網羅しています。より詳しい検査をご希望の方はフルスクリーニングセットや、「HPVリスク判定」「卵管造影検査」等のオプションを検査に含めることも可能です。

詳しくはこちらもご覧ください。

ブライダルチェックを受けるタイミング

不妊症の原因の有無を男女双方であらかじめ検査しておくことは、妊活をスムーズに行う助けとなります。また、年齢が若いうちに原因を早期発見して治療することで、不妊治療がより効果的なものとなります。特に性感染症は不妊の原因となるにも関わらず自覚症状がないものが多く、知らないうちにパートナ―も感染してしまう危険があります。原因の早期発見を行うためにも、将来妊娠を望むのであれば、結婚の有無に関わらず早めにブライダルチェックを実施することをおすすめします。

ブライダルチェックはパートナーがいない方も対象

ブライダルチェックという名前ではあるものの、上述の通り、未婚の方や恋人がいない方も検査を受けることが可能です。早期にご自身の健康状態を把握することは、人生計画を立てる一助ともなります。

ブライダルチェックは男性も受けよう

不妊の原因は、女性側、男性側双方にあり得ます。過去には、不妊症の原因の約半数が男性に由来するものであったという報告もあります。男性側の不妊の原因のうち80-90%が精子機能に関するものであり、そのため当院のブライダルチェックでは精液検査を実施しています。男性側にも不妊の原因がありうることを理解してブライダルチェックを受けていただくことで、不妊の原因究明を効果的に行うことができます。

男性不妊についてはこちらもご参照ください。

ブライダルチェックは本当に必要なの?

既に婦人科検診を定期的に受けていたり、病気の治療の一環で感染症検査をしている場合、検査内容が重複するブライダルチェックを改めて受ける必要があるのか、と思われる方もいると思います。生理周期が正常であれば尚更でしょう。また、不妊症の疑いが出てから不妊検査を受ければ済むのでは、と考えるケースもあるかもしれません。そこでこの項目では、不妊検査や婦人科検診とブライダルチェックの違いについて説明していきます。

ブライダルチェックと不妊検査や婦人科検診の違い

不妊検査とブライダルチェックの違い

不妊症検査は、不妊症の原因を解明することで不妊治療の方針を決定するためのものです。そのため一般的には、妊活をはじめて1年経過しても妊娠できないカップルが検査の対象となります。ブライダルチェックと比べより詳細な検査を行うことで、不妊症の原因解明を目指します。そのため、妊活を始めているにもかかわらず妊娠が成立しない場合には、不妊症検査を受けるべきです。対するブライダルチェックは、将来的な妊娠のしやすさを調べるためのものですので、妊娠を視野に入れた時点で受けていただくとよいでしょう。

婦人科検診とブライダルチェックの違い

婦人科検診は子宮や卵巣について、子宮頸がんといった病気や異常がないかを調べるものです。そのため、健康診断のように定期的に実施していただくことが推奨されます。一方ブライダルチェックでは、妊娠や出産に関わる病気や異常の有無を網羅的に検査します。そのため子宮や卵巣の検査だけではなく、性感染症や甲状腺などの検査も実施します。婦人科検診のように定期的に受けるものではなく、ご自身の妊娠のしやすさを把握するため一過的に受けていただくものです。

どの検査を受けるべき?

ブライダルチェック、不妊検査、婦人科検診にはそれぞれ重複する検査項目がみられます。そのため、これらの検査を比較するためには、検査を受ける目的を考えていただくとよいかと思われます。以下の表の通り、妊活を始める前に妊娠のしやすさを調べるためには、ブライダルチェックを受けていただくのがおすすめです。特に卵巣機能が低下している可能性が高い30代後半のカップルは、不妊症が発覚する前にブライダルチェックで妊娠能力を確認しておくことが、妊活成功の鍵となります。既に妊活をしているものの妊娠の成立がみられない場合には、不妊検査をしていただくとよいでしょう。

ブライダルチェック 不妊検査 婦人科検診
目的 妊娠のしやすさを調べる 不妊治療のために、不妊症の原因を調べる 婦人科疾患の有無を調べる
対象 妊娠を目指すカップル 1年以上妊娠が成立しないカップル 全女性
検査内容 子宮や卵巣の検査、感染症の有無、ホルモン量の測定等 ブライダルチェックより詳細なもの 子宮、卵巣の検査
頻度 妊娠を視野に入れた時 不妊治療の開始時 定期的な受診を推奨

torchクリニックのブライダルチェック

ブライダルチェックの内容

具体的な検査項目については、後述の通りです。当院では、ご自身の妊娠する力について知りたい方向けの「ライトセット」をベースとして、妊活をふまえてさらに詳しい検査をご希望の方向けの「妊活セット」と「フルスクリーニングセット」という3種類のブライダルチェックがあります。女性のライトセットでは卵子の残数(AMH検査)、子宮や卵巣の状態(超音波検査)を調べます。男性のライトセットは精液検査(一般)を対象としています。

ブライダルチェックの検査項目

以下に、女性側および男性側双方のブライダルチェックの検査項目を示します。各検査内容の説明については、女性側のものはこちらを、男性側のものについてはこちらをご覧ください。 

女性側の検査項目

ライトセット (12,200円)

・医師によるカウンセリング

・AMH検査

・超音波検査

妊活セット (38,100円)

・ライトセット

・女性ホルモン基礎値測定

・プロラクチン検査

・クラミジア抗体検査

・風疹抗体検査

・感染症検査(HIV等)

・甲状腺検査

・ビタミン検査

・血算

フルスクリーニングセット (51,700円)

・妊活セット

・ミネラル検査

・子宮頸がん検査(細胞診)

・随時血糖

・HbA1c検査

女性側の各検査内容について、詳しくはこちらをご参照ください。

男性側の検査項目

ライトセット (3,000円)

・医師によるカウンセリング

・精液検査(一般)

妊活セット (20,500円)

・ライトセット

・血液検査(男性ホルモン基礎値、クラミジア抗体検査、風疹抗体検査、HIV等の感染症検査)

フルスクリーニングセット (42,500円)

・妊活セット

・精液検査(一般+DFI+TAC)

男性側の各検査内容については、こちらをご参照ください。

おわりに

トーチクリニックでは、将来妊娠を考えている方向けのブライダルチェックなども提供しています。ブライダルチェックは、将来の妊娠に備えることを目的に、結婚や妊娠を控えたカップルを対象にした健康状態の確認のための検査です。

トーチクリニックは恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週6日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。

医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。

ブライダルチェックにご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ブライダルチェックのご予約はウェブからも受け付けております。

また、ブライダルチェックについての解説記事もご参考ください。