#04「不安と戦いながら治療に向き合っている患者さんの内面的なケアができる看護師でありたい」| 看護師 小鹿野愛美インタビュー

プロフィール

トーチクリニック看護師 小鹿野愛美

新卒から5年間、国立がん研究センター中央病院で勤務し、その後6年ほど緩和ケア病棟を新規設立する病院に立ち上げから携わり、がん看護に従事。今までは終末を迎えるがん患者さんとかかわってきたが、同世代の女性ががん疾患を患う手前で、看護師としてもっとできることがあるのではないか?という思いから2022年にトーチクリニックへ転職。

看護師としてのこれまでのキャリアを教えてください。

小学生の頃、祖父が肺がんを患って亡くなりました。入院中にとても呼吸が苦く、辛そうな祖父の闘病姿を見ていて、病気で苦しんでいる人を助ける仕事に就きたいという思いから看護師になりました。

看護師としては13年目なのですが、新卒から5年間は国立がん研究センター中央病院でがん看護を学び勤務し、その後はさらにがんと共存しながら生きていく患者さんの傍で身体的ケアだけでなく精神的ケアを行い寄り添った看護がしたいと思い、緩和ケア病棟のある病院に転職し、昨年まではがん看護に関わってきました。

不妊治療という領域はトーチクリニックが初めてになります。

婦人科・不妊治療の領域に転職をしたきっかけは?

がん看護を通して、子宮がんや卵巣がん、乳がん等の婦人科系のがん患者さんをたくさん見て、そして亡くなっていく姿をたくさん見てきました。がんで入院してくる同世代の患者さんを見るたびに、がんになる手前でできることは沢山あるのではないか?という風にも考えるようになりました。世の中で新型コロナの感染症が流行し当時働いていた緩和ケア病棟が隔離病棟として使用することになりました。その時は行き場を失う環境になってしまったという思いが強く、転職を考え始めました。そんな頃に以前から知り合いであった市山先生から開業の話を頂きました。市山先生も研修医の頃に20代で子宮頸がんを患って亡くなった患者さんを診た経験から、救える命があったはずだと言う思いから生殖医療に取り組んだと話を聴き、共感を得られる思いだと感じトーチクリニックへの転職を決めました。

看護師として大事にしていることは?

業務や技術等は経験を積むことで身に着けることができると思います。それでも看護師として私が大事にしたい事は、治療への不安と闘いながら生活をしている患者さんの拠り所となれるような看護師であり、身体的なケアだけでなく精神的なケアができる看護師になりたいと思っています。

看護師になった時からずっと「患者さんに寄り添った看護師でありたい」と思い続けて働いています。

がん看護に携わっていた頃、患者さんは死を見据えて生きることを目的に治療に取り組む方が多いのですが、いつ治るのか分からず治療を繰り返すことで精神的に辛くなっていく人たちをたくさん見てきました。これは生殖医療も同じで、不妊治療という「いつ妊娠できるのか分からない治療」に患者さんは取り組み、そして長くなれば長くなるほど患者さんは精神的に辛くなってくる領域であるとトーチクリニックに勤め始めて感じた事でした。今私は看護師としてトーチクリニックに通って下さっている患者さんにどう寄り添えるのかと日々考えながら働いています。

正解はすぐに見つけられるものではないですが、トーチクリニックに通って下さっている患者さんに寄り添った看護を提供するにはどうしたら良いか、私自身の大事にしている看護感をスタッフにも共有しながら自分のやるべき看護を常に考えながら仕事をしています。

これまでとは違う領域をどのようにしてキャッチアップしてきましたか?

新しい領域でわからない事や知らないことはたくさんありました。参考書を調べたり勉強会や研修に参加する事で知識を増やす事もありますが、患者さんと関わる診療現場で学んで知ることが多いと思います。治療スケジュールの説明、採卵の介助や注射指導などの中で、患者さんの治療に向き合う姿勢や、治療を経て生れてくる命の尊さや大切さを患者さんから学ばせてもらい、不妊治療において看護師としての役割を気づかせてもらっています。

国立がん研究センターに勤めていた頃に婦人科に所属していたことがありましたが、今の不妊治療の領域を知れば知るほど、かつての患者さんに対してのアプローチの仕方とかももっと違ったかも知れないと気付かされることもあります。今更ではなく今からでも知ることはたくさんあります。また、今までに経験したことのないクリニックでの業務や採卵の介助等新しい仕事を覚える事も多いですが、新しい事を知る楽しみも得られています。開業して半年ちょっとですが、その「気付きや学び」が出てくる数だけ、確実に知識としても看護師としても成長していると実感できています。

職場の雰囲気を教えてください

和気藹々としていて、職種を越えても話やすく笑いの絶えない雰囲気です。

看護師としてプライドを持ってやっている部分に関して、先生もきっちり意見を聞いてくれるので、それぞれがプロとしての立場で話ができて、それぞれの職種が良いクリニックにしようという目線でいられます。

開業したばかりの新しいクリニックなので、これからどんどん改善していく面も多いと思いますが、一緒に頑張っていける仲間が増えると、今よりもっと働きやすい環境が作れると信じています。

1日の流れ

<日勤>

07:45 出勤

08:30 診療準備。内診台、採卵室、安静室などの準備。

08:50 朝礼

09:00 午前外来開始。採血・採卵・診察介助・予診など

14:00 昼休憩

15:00 午後外来開始。移植・診察介助など

17:30 退勤

<遅勤>

11:00 出勤

11:00 午前外来。採血・採卵・診察介助・予診など

14:00 昼休憩

15:00 午後外来開始。移植・診察介助など

20:00 診察終了

20:30 片づけ・翌日のカルテチェック

21:00 退勤