#01「医学的根拠に裏付けされた質の高い技術を身につけ、患者さんに提供できる培養室を作りたい」| 培養室室長 田中孝幸インタビュー

プロフィール

トーチクリニック培養室 室長 田中孝幸

仙台の病院で12年培養士として勤務。仙台では開業時から培養室の立ち上げを経験。その後、都内の某クリニックで3年間培養室室長として勤務。2022年5月からトーチクリニックで培養室の立ち上げを行う。

胚培養士を志したきっかけを教えてください。

元々は、検査技師の学校に通っていてそのまま検査技師として働いていくんだろうなあと思っていました。しかし、病院実習中に培養士のセミナーを聞く機会があって、とりあえず聞いてみようと思ったら、そこで「自分がメインで仕事をして、患者さんの喜びにダイレクトに繋がる仕事だ!」と確信して胚培養士になりました。

やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

なかなか質の良い卵が採れなかったり、卵巣機能が低下している症例の患者さんが無事受精し、受精卵を移植した結果、妊娠したと聞いた時はすごく嬉しいですし、胚培養士としてやりがいを感じます。先日もあったのですが、そういった症例の患者さんの受精卵を培養して、妊娠したよ!って聞いた瞬間はすごく嬉しいですし、患者さんの希望に貢献できたと実感できます。トーチクリニックでは患者さんの顔を見ながら培養士として仕事ができるので、より患者さんの喜びの距離感が近く感じられるので、やりがいを感じています。

胚培養士として大事にしていることを教えてください。

患者さんの大事な精子と卵子、受精卵を扱う仕事なので、高い倫理観をもって、医学的根拠に裏付けされた知識と技術を身につけ、質の高い医療を患者さんに提供していくことが大事だと思っています。

新しい知識や技術はどのように身につけているのでしょうか?

学会には積極的に参加するようにしています。

また、他施設の培養士や、メーカーさん達からも情報を聞くようにしていますね。あとは海外の論文を読んだり、最新の情報は常にキャッチするようにしています。

ただ、注意しているのは本当にその情報、技術が医学的・科学的に根拠がきちんとあるかどうかをきっちり確かめるようにしています。どれだけ最新の情報でも患者さんにとって本当に有効な手段なのか?が一番大切なので、情報を聞いたからすぐ試す、ではなく、きちんと科学的根拠を確かめてから有効になるものであれば取り入れるように取捨選択には気をつけています。

トーチクリニック採用インタビュー。培養室室長田中孝幸氏の語る理想の培養室とは?

トーチクリニックへの転職を決めた理由は?

仙台で勤めていた頃、開業から培養室の立ち上げに携わっており、設計図から機器選定まで行なっていました。その後、ご縁があって都内のクリニックで培養室の管理者として勤務していましたが、仙台での経験を活かしてまた開業から携わって培養室の立ち上げから携わりたいという思いが出てきた時に、たまたま同業者伝いに市山先生(現トーチクリニック院長)が開業する話を耳にしました。実際に市山先生と会って話したところ、先生の不妊治療の知識、卵への理解、またセントマザーでの症例数や経験を聞き、この先生となら一緒になって二人三脚でより良い治療を世の中に提供していけると確信し、開業と同時の転職を決めました。

まだ開業して半年ですが、開業してからの印象的な出来事はありますか?

採卵件数の伸び方は予想以上でしたね、半年でここまで伸びるのは驚きでした。

伸びに対して色々足りない物も出てきているのも事実なので、今早急に対応策を練っています。(笑)

すごく忙しいのですが、これは嬉しい悲鳴なので、患者さんの満足度も上げながらより多くの患者さんの喜びを生み出していきたいですね。

トーチクリニックの培養室の教育方針を教えてください。

トーチクリニックでの胚培養士の教育方針は「反復練習」です。胚培養士は、集中力が必要な仕事ですが、色々な要因により集中力にかけている状況でも作業しなければならない事もあります。そんなときでも100%のパフォーマンスを出し続けることが必要な職業だと思っています。

患者さんの大事な精子や卵子、受精卵を扱う仕事なので、自分の手技が原因で受精卵などにダメージを与えてしまったり、紛失してしまったりすることは絶対あってはなりません。

そのような事がないように、安全に精子や卵子、受精卵を扱う手技を何回も反復練習を行い、どのような状況でも失敗をしない手技を体に染み込ませるくらいトレーニングすることが大事だと思っています。何回も何回も身につくまでとにかく反復練習を行い、そして先輩に質問しやすく教わりやすい環境作りを目指しています。

トーチクリニックの培養室を今後どのようにしていきたいですか?

固定概念や考えに捉われず、医学的根拠に裏付けされた質の高い技術を身につけ、提供できる培養室」でありたいと思います。

これから人が増えてくると、もっとルールなどができてくると思うのですが、「昔からこうゆうルールで、こうゆう手法でやってるからそれが正解」と決めつけるようなことはしたくないと思っています。

上下関係で縛り付けるとかではなく、みんなが意見が言いやすい環境をつくりたいですね。

培養士の城崎さんを筆頭に、女性2人がムードメーカーとなって話しやすい環境を作ってくれているので助かっています。

大事なのは培養成績をあげて、患者さんの妊娠率をあげること。

そのための新しい知識や技術を積極的に取り入れていきたいですし、スタッフ同士で密なコミュニケーションを取りながら、培養士全員が改善案や新しく取り入れた方がいい技術などを出し続け、協力しあえるようなチームにしていきたいですね。

1日の流れ

8:30 クリニック到着。前日採卵した受精卵の確認・凍結胚幅確認・凍結保存作業など。

10:15 採卵・精液処理

12:30 昼休憩

13:30 指示確認

14:00 受精作業開始

16:00 翌日準備・事務処理

17:00 帰宅